はじめに
このテキストでは、万葉集の第5巻に収録されている「
うちなびく春の柳とわがやどの梅の花とをいかにかわかむ」(八二六)の現代語訳・口語訳とその解説を記しています。この和歌は、平成の次の元号である「令和」(2019年5月1日〜)の由来となった万葉集『
梅花の歌三十二首并せて序』に収録された32首のうちのひとつです。
原文
(※1)うちなびく 春の柳と わがやどの 梅の花とを いかに(※2)か(※3)わかむ
ひらがなでの読み方
うちなびく はるのやなぎと わがやどの うめのはなとを いかにかわかむ
現代語訳
なびいている春の柳と私の庭の梅の花と、(どちらが優れているか)どうして判断することができましょうか。
解説
大典史氏大原(=本名未詳)の歌です。大伴旅人主催の梅花の宴にて詠まれた32首のひとつです。梅花の宴とは文字通り梅の花を題材とした歌を詠む会で、当時太宰府の長官であった大伴旅人を中心に開催されました。そのときに詠まれた32首にはすべて梅の花が含まれています。
単語・文法解説
(※1)うちなびく | 「春、草、黒髪」などにかかる枕詞 |
(※2)か | 疑問/反語を表す係助詞 |
(※3)わか | カ行四段活用「わく」の未然形。「区別する/判断する」の意 |