徒然草『家居のつきづきしく』
ここでは徒然草の中の『家居のつきづきしく』(家居のつきづきしく、あらまほしきこそ〜)の内容とポイントを記しています。
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徒然草『家居のつきづきしく』の現代語訳・文法解説
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徒然草『家居のつきづきしく』の品詞分解(助動詞など)
ポイント・要点
住まいによって、その家に住む人の人柄は自然と推察されるものである。
内容
住まいがそこに住む人に似つかわしいことは、趣があるものです。身分が高く教養のある人の住まいは、いっそう身にしみるように感じられるものです。人の手が加わっていない庭草や、さりげなく置いてある道具も古風な感じがして奥ゆかしく思われます。
それに対して多くの職人が心をこめ、素晴らしい道具類を並べおき、さらに庭木にも手を加えて作り上げてある住まいは、たいそう興ざめなものです。住まいによってその家に住む人の人柄は自然と推察されるものです。
後徳大寺大臣(徳大寺実定)が、屋根に鳶が止まるのを嫌がって縄を張ったことがあったのですが、それを見た西行は、心が狭いといって後徳大寺大臣のもとへ参上しなくなったという話を聞いたことがあります。私は、綾小路宮が同じように屋根に縄を張ったときにこの話を思い出したのですが、綾小路宮は後徳大寺大臣とは違い、「烏が群がって池の蛙をとるので、蛙のことをかわいそうに思って、烏よけの縄を張った」と聞いて感心しました。後大徳寺大臣にはどのような理由があったのでしょうか。