ふすぶ/燻ぶ
このテキストでは、バ行下二段活用の動詞「
ふすぶ/燻ぶ」の意味、活用、解説とその使用例を記している。
バ行下二段活用
未然形 | ふすべ |
連用形 | ふすべ |
終止形 | ふすぶ |
連体形 | ふすぶる |
已然形 | ふすぶれ |
命令形 | ふすべよ |
■意味1:自動詞
煙をたてる、くすぶる。
[出典]:
折節の 徒然草
「六月のころ、あやしき家に夕顔の白く見えて、蚊遣火
ふすぶるもあはれなり。六月祓、またをかし。」
[訳]:六月の頃に、みすぼらしい家に夕顔が白く(咲いているのが)見えて、蚊を追い払うための火が
くすぶっているのも趣がある。六月祓も、また趣がある。
■意味2:自動詞
やきもちを焼く、嫉妬する。
[出典]:苦しげなるもの 枕草子
「思ふ人二人もちて、こなたかなたふすべらるる男。」
[訳]:愛する人を二人持って、こちらからもあちらからも嫉妬される男(は困っているように見える)。
■意味3:自動詞
すねる。
■意味4:他動詞
いぶす、くすぶらせる。
[出典]:須磨 源氏物語
「おはします背後の山に、柴といふ物、ふすぶるなりけり。」
[訳]:(光源氏が)住んでいらっしゃる後ろの山で、柴というものをいぶしているのであった。