まはる/回る/廻る
このテキストでは、ラ行四段活用の動詞「
まはる/回る/廻る」の意味、活用、解説とその使用例を記している。
ラ行四段活用
未然形 | まはら |
連用形 | まはり |
終止形 | まはる |
連体形 | まはる |
已然形 | まはれ |
命令形 | まはれ |
■意味1:自動詞
回転する、まわる。
[出典]:
亀山殿の御池に 徒然草
「多くの銭を賜ひて、数日に営み出だして、掛けたりけるに、おほかた廻(めぐ)らざりければ、とかく直しけれども、つひに
廻(まは)らで、いたづらに立てりけり。」
[訳]:多くの金銭をお与えになって、数日かけてこしらえあげて、(水車を川に)かけたところ、まったくまわらなかったので、あれこれと直してみたけれど、最後まで
まわることはなく、(水車は)むだに立っているだけであった。
■意味2:自動詞
迂回する、遠回りをする。
[出典]:
富士川 平家物語
「すはや源氏の大勢の寄するは。斎藤別当が申しつる様に、定めて搦手も
まはるらむ。」
[訳]:あっ源氏の大軍が(攻め)寄せてきた。斎藤別当が申したように、きっと(源氏の軍勢は、わが軍の)背後にも
迂回するだろう。
■意味3:自動詞
すみずみまで回り歩く、めぐり歩く。
[出典]:猿源氏草紙
「汝は、洛中をまはり、隠れもなき鰯売りなれば...」
[訳]:おまえは、洛中をすみずみまで回り歩く、知らない人のいない鰯売りなので...
■意味4:自動詞
もうかる、利益をうむ。
[出典]:好色一代男
「小判貸しの利は何ほどにまはるものぞ。」
[訳]:小判貸しの利息はどれほどにもうかるものか。