おちあふ/落ち合ふ
このテキストでは、ハ行四段活用の動詞「
おちあふ/落ち合ふ」の意味、活用、解説とその使用例を記している。
ハ行四段活用
未然形 | おちあは |
連用形 | おちあひ |
終止形 | おちあふ |
連体形 | おちあふ |
已然形 | おちあへ |
命令形 | おちあへ |
■意味1:自動詞
同じところに来合わせる、加勢して組み合う。
[出典]:
木曾最期 平家物語
「今井が行方の覚束なさに振り仰ぎ給へる内甲(かぶと)を、三浦の石田次郎為久、追つ掛つて、よつ引いて、ひやうふつと射る。痛手なれば、真っ向を馬の頭に当てて俯し給へる処に、石田が郎等二人
落ち合うて、遂に木曽殿の首をば取つてんげり。」
[訳]:今井の行く先が気がかりで空を見上げられた兜の正面の内側を、三浦の石田次郎為久が、追いかけて、(弓を)十分に引き絞って、ひゅっと射る。(木曾殿は)深手でなので、兜の鉢の正面を馬の頭にあててうつむいていらっしゃるところに、石田の家来が二人
来合わせてとうとう木曽殿の首を取ってしまった。
※「落ち合う」は、連用形「落ち合ひ」のウ音便。
■意味2:自動詞
争いの相手になる、立ち向かう、出てきて相手になる。
[出典]:忠度最期 平家物語
「一騎も落ち合はず、われ先にとぞ落ち行きける。」
[訳]:一騎も(平忠純に)立ち向かわず、我先にと逃げていった。