わざと
このテキストでは、古文単語「
わざと」の意味、解説とその使用例を記している。
副詞
■意味1
わざわざ、意図的に、ことさらに。
[出典]:
ふと心劣りとかするものは 枕草子
「さもあるまじき老いたる人、男などの、
わざとつくろひ、ひなびたるはにくし。」
[訳]:そのような言葉を使うべきではない老人や、男性などが、
意図的にとりつくろって、田舎じみていることは気にくわない。
■意味2
特別に、とりわけ、あらたまって。
※この用法の場合、多くが「わざと+形容詞/形容動詞」の形で用いる。
[出典]:
すさまじきもの 枕草子
「人のもとに
わざと清げに書きてやりつる文の返事、いまは持て来ぬらむかし、あやしう遅き、と待つほどに...」
[訳]:人の所に
特別に立派に書いて送った手紙の返事を、(使いの者が)今頃持ってきているだろう、異常に遅いわね、と待つうちに...
■意味3
本格的に、正式に。
※この用法の場合、多くが「わざと+名詞」の形で用いる。
[出典]:桐壷 源氏物語
「わざとの御学問はさるものにて、琴笛の音にも雲居を響かし...」
[訳]:本格的なご学問は言うまでもなく、琴や笛の音色につけても宮中で評判を立てさせ...