ここでは「無機化学」を取り扱います。手元に周期表があるとよいでしょう。
周期表と元素
元素の分類
■周期表と典型元素・遷移元素
元素の
周期律:元素を原子番号の順に並べると、その性質が周期的に変化すること。
元素の
周期表:周期律に基づいて、性質の類似した元素が同じ縦の列に並ぶように配列した表のこと。
周期表において、
1、2族と12族〜18族の元素を
典型元素
3族〜11族の元素を
遷移元素
という。
周期表を見ると勘違いしやすいが、典型元素は13族からではなく12族〜18族なので注意
■典型元素の特徴
原子番号の増加とともに価電子の数が規則的に変化するので、周期律をはっきりと示す。(18族の価電子数は
0)また、周期表で縦に並んだ元素(
同族元素)はよく似た性質を示す。また、化合物やイオンの色は、
無色のものが多い。
■遷移元素の特徴
原子番号が増加しても価電子の数がほとんど変化しない。周期表で横に並んだ元素(
同周期元素)の性質が似ていることが多い。また、化合物やイオンの色は、
有色のものが多い。
■陽性元素と陰性元素
陽性元素:電子を失って陽イオンになりやすい(酸化しやすい)元素。
陰性元素:電子を得て陰イオンになりやすい(還元しやすい)元素。
同周期元素では、希ガスを除いて、原子番号が増加すると原子核の正電荷+が増え、原子核が電子を引き付ける力が強くなるので、陰性が強くなる。
同族元素では、原子番号が増加すると原子半径が大きくなり、原子核が電子を引き付ける力が弱くなるので、陽性が強くなる。
よって典型元素では、周期表の
左下に位置する元素ほど
陽性が強くなり、
右上に位置する(希ガスを除く)元素ほど
陰性が強くなる。
■金属元素と非金属元素
金属元素:単体が金属の性質を示す元素。
非金属元素:単体が金属の性質を示さない元素。主に周期表の右上に位置する。
ケイ素やゲルマニウムのような、両者の境界付近に位置する元素は、金属元素と非金属元素の両方の性質を示すことがある。
典型元素は、金属元素と非金属元素を約半数ずつ含む。
遷移元素は、すべて金属元素である。
単体の様子
■金属元素の単体
金属結合による金属結晶をつくる。金属の単体は、常温、常圧で
固体である(水銀Hgは
液体)。
■非金属元素の単体
共有結合で結ばれた分子として存在するものが多い。例えば、
水素H、窒素N、酸素O、ハロゲン etc...
→ 二原子分子
硫黄S、リンP etc...
→ 多原子分子
希ガス
→ 単原子分子
として存在する。
単原子分子と二原子分子のほとんどは常温で
気体であるが、ハロゲンの単体中で、
臭素Br は常温で
液体
ヨウ素 I は、常温で
固体
である。
炭素やケイ素の単体は、
共有結合の結晶をつくり、融点が極めて高い。