ひきはなつ/引き放つ
このテキストでは、タ行四段活用の動詞「
ひきはなつ/引き放つ」の意味、活用、解説とその使用例を記している。
タ行四段活用
未然形 | ひきはなた |
連用形 | ひきはなち |
終止形 | ひきはなつ |
連体形 | ひきはなつ |
已然形 | ひきはなて |
命令形 | ひきはなて |
■意味1:他動詞
弓を引いて矢を放つ。
[出典]:万葉集
「引き放つ矢のしげけく...」
[訳]:弓を引いて放つ矢の多いことは...
■意味2:他動詞
引っ張って離す。
[出典]:
大江山の歌 十訓抄
「...とばかり言ひて、返歌にも及ばず、袖を
引き放ちて逃げられけり。」
[訳]:...とだけ言って、返歌もできずに、袖を
引っ張って離してお逃げになりました。
■意味3:他動詞
間隔を置く、文字を一字ずつ離して書く。
[出典]:早蕨 源氏物語
「手はいとあしうて、歌は、わざとがましく引き放ちてぞ書きたる」
[訳]:(阿闍梨の)文字はたいそう下手で、和歌は、わざとらしく文字を一文字ずつ離して書いてある。