さるべき/然るべき
このテキストでは、古文単語「
さるべき/然るべき」の意味、解説とその使用例を記している。
成り立ち
ラ行変格活用「さり」の連体形「さる」と当然の助動詞「べし」の連体形「べき」が一語になったもの。
連語
■意味1
最も適当な、しかるべき、そうするのが最もふさわしい。
[出典]:
葵 源氏物語
「まだ
さるべきほどにもあらず。」
[訳]:(葵の上は)まだ
しかるべき(お産の)頃ではない。
■意味2
(前世の因縁で決まっていることを指して)
そうなる宿縁の、そうなる運命の、そうなるのが当然の。
[出典]:明石 源氏物語
「なほさるべきにて、外の朝廷にもかかるたぐひ多うはべりけり。」
[訳]:やはり前世からの宿縁で、異国の国にもこのような(無実で処罰される)例は数多くございました。
■意味3
相当な、立派な、由緒正しい。
※この用法の場合、おもに「さるべき人/さるべき所」などの形で用いられる。
[出典]:
道長の豪胆 大鏡
「
さるべき人は、とうより御心魂のたけく、御まもりもこはきなめりとおぼえ侍るは。」
[訳]:(藤原道長のように)
立派な人は、早くからご胆力が強く、神仏のご加護も強いように思われます。