かしこまる/畏まる
このテキストでは、ラ行四段活用の動詞「
かしこまる/畏まる」の意味、活用、解説とその使用例を記しています。
ラ行四段活用
未然形 | かしこまら |
連用形 | かしこまり |
終止形 | かしこまる |
連体形 | かしこまる |
已然形 | かしこまれ |
命令形 | かしこまれ |
■意味1:自動詞
おそれ敬う。
[出典]:枕草子 清少納言
「また、
やむごとなき人の、よろづの人に
かしこまられ、かしづかれ給ふ...」
[訳]:また、身分の高い人が、さまざまな人に
おそれ敬われ、大切に守られていらっしゃるのを...
■意味2:自動詞
恐縮する、ありがたくもったいないと思う。
[出典]:枕草子 清少納言
「さるまじき人のもとに、あまり
かしこまりたるも、げに
わろきことなり。」
[訳]:そうする必要のない人のところに、あまりにも
恐縮しているのも、本当に感心しないことです。
■意味3:自動詞
謝罪する、わびる。
[出典]:源氏物語 紫式部
「心惑はし給ひし世の報いなどを、仏にかしこまり聞こゆるこそ苦しけれ。」
[訳]:心をお惑わしになったときの報いなどを、仏におわび申し上げるのはつらいことです。
■意味4:自動詞
礼をのべる。
[出典]:源氏物語 紫式部
「かくおはしましたる喜びを、またなきことにかしこまる。」
[訳]:このようにいらっしゃったお礼を、またとないこととして申し上げます。
■意味5:自動詞
きちんと座る、正座する、緊張してかたくなる。
[出典]:枕草子 清少納言
「劣りたる人の、ゐずまひも、かしこまりたる気色にて...」
[訳]:身分の低い人が、座り方も、緊張してかたくなっている様子で...
■意味6:自動詞
謹んで命令を受ける、承知する。
[出典]:熊野
「熊野来たりてあらば、こなたへ申しさうらへ。」「かしこまって候。」
[訳]:「熊野が来たならば、こちらへ申し出なさい。「承知しました。」
※「かしこまっ」は連用形「かしこまり」の促音便