酢酸のpHの求める計算問題
0.5mol/lの酢酸5mlのpHを求めなさい(ただし、電離度は0.02とする)
このような問題があったとしましょう。
この問題でネックになってくるのは
電離度です。
電離度とは
「電離度??」という方のためにおさらいをしますと、電離度とは
溶けた電解質のうち、どれだけが電離したのかを表し、
電離した電解質の物質量÷溶解した電解質の物質量
で求めることができます。強酸や強塩基などはこれがほぼ1であるのに対し、弱酸や酢塩基の電離度は0に近い値をとります。この
電離度が1に近ければ近いほど、強酸・強塩基といえます。
つまり今回の酢酸は、電離度が0.02ですので、酢酸は弱酸であることがわかりますね。
pHの求め方
pHを求めるには、
水素イオン濃度をまず求めなければなりません。
その求め方は2通りあります。
■求め方その1
電離度が与えられていますので、
水素イオン濃度[H⁺]=酸の価数×酸のモル濃度×酸の電離度
の計算で水素イオン濃度を求めることができます。酢酸は1価の酸ですので
水素イオン濃度[H⁺]=1×0.5mol×0.02=0.01=1.0 × 10⁻²
ここで
裏技ですが、
1.0 × 10⁻² の乗数の部分、すなわちここでは2がpHの値となります。よって、求めるpHは2となります。
■求め方その2
続いて少しアドバンスな解き方です。
ここで設問の数値を変えましょう。
0.1mol/lの酢酸5mlのpHを求めなさい(ただし、電離度は0.016、log₂=0.3とする)
実は
pHを求める公式というものが存在します。それが以下のものです。
pH=− log H⁺ …①
[H⁺]は水素イオン濃度のことを指します。つまりこの公式を使うためには、水素イオン濃度が必要です。
pHを求める問題は必ず水素イオン濃度を求めなければならないので、まずは水素イオン濃度を求めましょう。
与えられた酢酸は0.1mol/l、電離度が0.016なので、この酢酸の水素イオン濃度は
1×0.1×0.016=0.0016=16 × 10⁻⁴
となります。①の公式から
pH=− log 16 × 10⁻⁴=4 − log 16
ここまでくればあとはlogの式を解くだけです。
pH=2.8となります。
この公式はどのようなときに使うかというと、水素イオン濃度が
1.0 × 10⁻ⁿとならないような時です。
1.0 × 10⁻ⁿというように
水素イオン濃度がまとめることができると、nの値をそのままpHとすることができます。
しかし、
3.0 × 10⁻ⁿや
5.0 × 10⁻ⁿといった水素イオン濃度になったらどうでしょう。n=pHとすることができなくなります。
このような場合には必ず、前もってlog₃やlog₅といった値が与えられていますので、公式を用いてlogの式を解くことは可能になります。
まとめ
以上のことから、水素イオン濃度が
1.0 × 10⁻ⁿのように簡単に解くことができそうであれば
求め方その1を、それ以外の場合は
求め方その2の公式を用いることが望ましいでしょう。また、
設問にlogがでてきたらlogを使わないと解けないということの裏返しでもあるので、設問もしっかりと読むようにしましょう。