はじめに
ここでは、
万葉集で詠まれている「
家にあれば笥に盛る飯を草枕旅にしあれば椎の葉に盛る」という歌について説明していきます。
原文
家にあれば笥に盛る飯を草枕旅にしあれば椎の葉に盛る
現代語訳(口語訳)
家にいると器によそうご飯を、今は旅の途中なので椎の葉に盛ります。
解説・鑑賞のしかた
この句は、飛鳥時代に
有間皇子が詠んだ句です。大化の改新で活躍した中大兄皇子と同じ時代の人物です。有間皇子は中大兄皇子と不仲で、謀反をたくらんでいました。しかし一緒に計画をしていたはずの蘇我赤兄に裏切られ、計画がばれて捕まってしまいます。この句に詠まれている「旅」とは、捕まったあと護送されているときのことです。このときに詠まれたもので「
磐代の浜松が枝を引き結び真幸くあらばまた還り見む」という句もあります。
単語
家にあれば | 「ば」は恒常的条件をさす接続助詞で、「家にいるときはいつも」となる |
笥 | 物をいれる器 |
草枕 | 「旅」にかかる枕詞 |
旅 | 朝廷への反逆罪で護送中の旅のこと |
品詞分解
※名詞は省略しています。
家 | ー |
に | 格助詞 |
あれ | ラ行変格活用・已然形 |
ば | 接続助詞 |
笥 | ー |
に | 格助詞 |
盛る | ラ行四段活用・連体形 |
飯 | ー |
を | 格助詞 |
草枕 | 枕詞 |
旅 | ー |
に | 格助詞 |
し | 副助詞 |
あれ | ラ行変格活用・已然形 |
ば | 接続助詞 |
椎 | ー |
の | 格助詞 |
葉 | ー |
に | 格助詞 |
盛る | ラ行四段活用・終止形 |