口語訳(現代語訳)
太宗は以前、部下に質問をした。
「国を作ることと国を守ることでは、どちらが難しいだろうか」と。
(家臣の1人であった)房玄齢は答えた。
「物事が始まったばかりで、まだ秩序の定まらない時期の始め、多くの実力者が並んで力を競いあい、戦いに勝利した者が相手を屈服させることができました。国を作ることが難しいでしょう」と。
(一方で、もう1人の家臣である)魏徴は答えた。
「昔から、国が困難な場面に直面したときに、何も対処せずに失わなかった帝王はおりません。国を守ることが難しいでしょう」と。
太子は言います。
「玄齢は、私と一緒に天下をとり、百死に一生を得たのだ。だから国を作ることの難しさを知っている。そして徴は、私と一緒に太平の世の中を気にし、おごりが富貴を生じさせ、世の乱れや動乱が物事をいいかげんなままにしておく心から生まれることを恐れている。だから国を守ることの難しさを知っている。
しかし、国を作ることの難しさはすでに去った。国を守ることの難しさは、今まさにお前たちと一緒に慎んで向き合っていこう」と。
単語・解説
| 上 | 唐の皇帝「太宗」のこと |
| 創業 | 国を建てること |
| 守成 | 国を守ること |
| 草昧 | すべてが始まったばかりで、秩序が定まらずにいる時 |
| 矣 | 文を強調するために使う置き字の1つ |
| 莫不 | 二重否定になっている |
| 於 | 置き字 |
| 出百死得一生 | 九死に一生を得るよりもさらに大変と解釈 |
| 驕奢 | おごる気持ち |
| 禍乱 | 世の中の乱れや動乱 |
| 忽 | 物事をいいかげんにしておく様 |
| 方 | 「まさに~」と読み、「今まさに」と訳す |
| 諸公 | 身分の高い貴族・役人。ここでは房玄齢と魏徴を指して「お前たち」と訳している |
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