フィレンツェとメディチ家
イタリア=ルネサンスの中心地として有名なのが、北イタリア、
トスカナ平野の中心都市である
フィレンツェ(英語ではフローレンス)です。この街は
毛織物生産、貿易・金融業で栄えました。
そして、この商業都市の支配者として君臨したのが
メディチ家です。メディチ家は当時のヨーロッパにおける大富豪一族で、ルネサンス最大の庇護者でもありました。14世紀末から金融業で大成功を収め、フィレンツェの発展と共に富を増やしていったと伝えられています。
このメディチ家、ただの金持ち一家ではなく、ヨーロッパ世界に様々な影響を与えました。のちのドイツ宗教改革の遠因となったローマ教皇
レオ10世(在位1513~21) や、フランス王妃
カトリーヌ(1519~89)などもメディチ家出身です。
メディチ家の礎を築いたのが、
コジモ=デ=メディチ(1389~1464)です。コジモは国家元首にも就任して、フィレンツェの発展に貢献しました。また、アカデミー(プラトン学園)や図書館の開設などを通じて学者や芸術家などの文化人を庇護し、イタリア=ルネサンスの成立に大きな影響を与えました。また、その後のロレンツォ=デ=メディチ(1449~92)の時代に、イタリア=ルネサンスは最盛期を迎えます。
(コジモ=デ=メディチ)
人文主義とルネサンス人
いままでルネサンスがなぜ成立したかということを説明してきたので、次は具体的にルネサンスの内容をご紹介しましょう。
まず、ルネサンスの中心となった思想として
人文主義(ヒューマニズム)があります。
前にも書きましたが、ルネサンスとはギリシア・ローマ時代の古典を復興させることでしたよね?人文主義というのは、中世キリスト教の禁欲的な考え方を改めて、人間のありのままの姿を表現しようということです。
例えば、ローマ時代の彫刻は筋肉ムキムキの裸像があったりしますよね。この裸像は中世キリスト教文化では抑圧されていたんです。破廉恥だと。ルネサンス期では、それらは美しいという考えになってくるんです。なので、ルネサンス期の芸術作品から、裸の人間をモチーフにした作品が多くなってきます。人間本来が持つ美しさや欲望などを認め、芸術に昇華させていったんです。ただし、カトリックの価値観を否定するものではありませんでした。
さて、この時代に活躍したルネサンス人を紹介していきたいと思います。