はじめに
ルネサンスが訪れるまで、西ヨーロッパでは中世文化と言われるものがありました。この文化はどのようなものだったのか、このテキストで見てみましょう。
キリスト教と学問
中世ヨーロッパの学問は、
キリスト教を中心として発展したため、数ある学問の中でも、神学が最も権威のある学問として認識されていました。
西ヨーロッパの中世における神学とは、キリスト教の教理や信仰、倫理の研究をする学問のことです。
神学の権威をあらわすことわざに、「
哲学は神学のはしため」というものがあります。
ギリシア時代には、学問の中核を担った哲学が、中世ではキリスト教神学よりも下に位置していたということです。
また、この時代の学問を修めるにあたって必要不可欠だったのが、
ラテン語の習得でした。
ラテン語というのは、古代ローマ帝国の共通語だった言語です。ラテン語をベースとして、中世ヨーロッパでは
フランス語や
イタリア語、
スペイン語に分化し、一般大衆には使われていませんでした。
しかし、キリスト教の経典である聖書は、
ヒエロニムスという教父によってギリシア語やヘブライ語から翻訳されたラテン語で書かれたものが標準聖書として用いられていました。
そのため、学者の間で学術語として、その後長い間ラテン語が標準言語として使われました。