東地中海世界の諸民族:交易と文字の民
アラム人と内陸交易
シリア地方を中心に活動したアラム人は、セム語系の遊牧民でした 。彼らは紀元前12世紀頃からダマスクスなどを拠点に多くの都市国家を形成し、内陸の中継貿易で活躍しました 。 アラム人はラクダを利用して広範囲な交易網を築き、彼らの言葉であるアラム語は、全オリエントの国際共通語(リンガ・フランカ)として普及しました 。また、彼らが使用したアラム文字は、ヘブライ文字、アラビア文字、ソグド文字、ウイグル文字、モンゴル文字など、東方の多くの文字の母体となりました 。
フェニキア人と海上交易
現在のレバノンを中心とする地中海東岸に拠点を置いたフェニキア人も、セム語系の民族です 。彼らは紀元前12世紀頃から、シドンやティルスなどの都市国家を中心に海上交易で繁栄しました 。 フェニキア人は優れた航海術を持ち、地中海全体に進出しました 。彼らは特産品であるレバノン杉や紫色の染料、ガラス製品などを輸出し、北アフリカのカルタゴをはじめとする多くの植民市を建設しました 。 彼らの最大の功績は、フェニキア文字の発明と普及です 。これは子音のみの表音文字で、彼らの交易活動を通じてギリシアに伝わり、母音記号が追加されてアルファベットとなりました 。これが現在のヨーロッパ諸言語の文字の起源です 。