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蜻蛉日記原文全集「雨間に例の通ひどころにものしたる日」
著作名: 古典愛好家
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蜻蛉日記

雨間に例の通ひどころにものしたる日

雨間に例の通ひどころにものしたる日、例の御ふみあり。

「「おはせず」といへど、「なほ」とのみ給ふ」


とて、入れたるを見れば、

とこなつにこひしきことやなぐさむと きみがかきほにをるとしらずや

さてもかひなければ、まかりぬる」


とぞある。

さて二日ばかりありて見えたれば、

「これ、さてなんありし」


とて見すれば、

「ほどへにければ、便なし」


とて、ただ

「このごろは仰(おほ)せごともなきこと」


と聞こえられたれば、かくのたまへる、

みづまさりうらもなぎさのころなれば ちどりのあとをふみはまどふか

とこそ見つれ。うらみ給ふがわりなさ。「みづから」とあるはまことか」


と、女手にかき給へり。おとこの手にてこそくるしけれ、

うらがくれみることかたきあとならば しほひをまたんからきわざかな

又、宮、

うらもなくふみやるあとをわたつうみの しほのひるまもなににかはせん

とこそ思ひつれ、ことざまにもはた」


とあり。





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