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18_80 ヨーロッパ世界の形成と変動 / 西ヨーロッパ中世世界の変容

第4回十字軍とは わかりやすい世界史用語1626

著者名: ピアソラ
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第4回十字軍とは

1198年、教皇インノケンティウス3世は、エルサレムを奪還するために第4回十字軍を呼びかけました。この呼びかけは、キリスト教徒にとって聖地であるエルサレムを再び手に入れることを目的としており、特に当時のムスリムの支配下にあったエジプトのアイユーブ朝を打倒することが重要視されました。教皇の強い意志は、十字軍の参加者にとって大きな動機となり、彼らは聖地の奪還に向けて結束しました。
エルサレムは、キリスト教、イスラム教、ユダヤ教にとって非常に重要な聖地であり、十字軍の主要な目的地でした。この都市は、宗教的な象徴だけでなく、政治的・経済的な中心地でもありました。そのため、エルサレムの奪還は、キリスト教徒にとっての大きな目標であり、彼らの信仰の象徴でもありました。
第3回十字軍はエルサレム奪還に失敗し、その結果として第4回十字軍が計画されました。前回の失敗は、キリスト教徒の士気に影響を与え、再度の挑戦を促す要因となりました。しかし、第4回十字軍もまた、目的を達成することができず、最終的にはコンスタンティノープルを攻撃するという予期しない展開を迎えました。
第4回十字軍には、フランスやイタリアなどの西欧諸国から多くの参加者が集まりました。特に、ヴェネツィアは重要な役割を果たし、十字軍の輸送を担当しました。彼らは、エジプトを攻撃することでムスリムの力を削ぎ、エルサレム奪還の道を開こうとしました。しかし、資金不足や計画の変更により、最終的にはコンスタンティノープルを攻撃することになりました。



十字軍の原因

第四次十字軍の当初の計画は、エジプトを攻撃し、そこからエルサレムを奪還することでした。エジプトは当時、アユーブ朝の支配下にあり、イスラム教徒の主要な拠点とされていました。この計画は、十字軍がエジプトを制圧することで、聖地であるエルサレムへの道を開くことを目指していました。教皇インノケンティウス3世は、この遠征を通じてキリスト教徒の聖地を取り戻すことを期待していました。
しかし、十字軍の輸送を担当していたヴェネツィアは、財政的な問題に直面していました。彼らは、十字軍の資金不足を解決するために、ザラとコンスタンティノープルへの攻撃を提案しました。この提案は、ヴェネツィアの商業的利益を守るためのものであり、十字軍の指導者たちは、エジプト攻撃の計画を変更せざるを得なくなりました。
十字軍は、資金不足に陥り、ヴェネツィアへの支払いが困難になったため、計画が大きく変更されました。この財政的困難は、十字軍の士気を低下させ、最終的にはエジプト攻撃の代わりにコンスタンティノープルへの攻撃を選択する結果となりました。このような状況は、十字軍の目的を根本的に変えてしまい、最終的には失敗に終わることとなります。
コンスタンティノープル攻撃には、政治的な動機も絡んでいました。ヴェネツィアの商業利益が大きく影響し、十字軍はこの都市を攻撃することで、経済的な利益を得ようとしました。この攻撃は、東ローマ帝国に対する壊滅的な影響を及ぼし、キリスト教徒同士の関係をも悪化させました。結果として、十字軍は本来の目的を見失い、歴史において最も悲惨な遠征の一つとなりました。

主要な出来事

1202年、十字軍はヴェネツィアの要請に応じてザラを占領しました。この行動は、十字軍の本来の目的であるエルサレム奪還から逸脱したものであり、ザラの占領はコンスタンティノープル攻撃の前兆となりました。ザラの占領は、十字軍の指導者たちが経済的利益を追求する中で、戦略的な選択を余儀なくされた結果でもありました。
1203年、十字軍はコンスタンティノープルに到着し、ビザンツ帝国のアレクシオス4世との政治的交渉が行われました。アレクシオス4世は、十字軍の支援を受けて権力を取り戻すことを望んでいましたが、彼の人気は低下しており、十字軍の目的と彼の要求が交錯する中で、緊張が高まりました。
1204年、十字軍はコンスタンティノープルを陥落させ、都市は大規模な略奪に見舞われました。この略奪は、十字軍の目的が聖地奪還から逸脱し、経済的利益を追求する方向に変わったことを象徴しています。コンスタンティノープルの陥落は、ビザンツ帝国にとって致命的な打撃となり、東ローマ帝国の衰退を加速させました。
コンスタンティノープルの陥落後、十字軍はラテン帝国を設立し、東ローマ帝国の領土を分割しました。この新たな政権は、フランク人の支配(フランコクラティア)として知られ、ビザンツ文化と西欧文化の融合をもたらしました。しかし、この時代はまた、東西教会の分裂を深める要因ともなり、キリスト教世界における緊張を生む結果となりました。
コンスタンティノープルの陥落

第4回十字軍は、1202年から1204年にかけて行われ、教皇インノケンティウス3世によって呼びかけられました。この十字軍の主な目的は、当時イスラム教徒の支配下にあったエルサレムを奪還することでした。しかし、計画は次第に変わり、最終的にはコンスタンティノープルへの攻撃に向かうこととなりました。十字軍は、エジプトのアイユーブ朝を打倒することを最初の目標としていましたが、経済的な問題や政治的な駆け引きが影響し、最終的にはビザンチン帝国の首都を攻撃することになったのです。
攻撃の開始から数ヶ月後、十字軍はコンスタンティノープルの包囲を開始しました。1204年4月12日、十字軍はついに都市を占領し、ビザンチン帝国の中心地を制圧しました。この攻撃は、十字軍の指導者たちがヴェネツィア共和国の支援を受けて行ったもので、彼らは都市の防御を突破し、無抵抗の市民に対しても容赦なく攻撃を行いました。
十字軍による略奪と破壊は、コンスタンティノープルの文化財や宗教的遺物に対しても及びました。多くの教会や図書館が破壊され、貴重な文書や芸術作品が略奪されました。このような行為は、ビザンチン文化の衰退を加速させ、都市の経済にも深刻な影響を与えました。
十字軍による略奪と破壊は、コンスタンティノープルの文化財や宗教的遺物に対しても及びました。多くの教会や図書館が破壊され、貴重な文書や芸術作品が略奪されました。このような行為は、ビザンチン文化の衰退を加速させ、都市の経済にも深刻な影響を与えました。
市民への影響は計り知れず、経済的な混乱や文化的な損失が続きました。さらに、この攻撃は東西教会の分裂を深める結果となり、カトリック教会と正教会の関係は悪化しました。十字軍の行動は、キリスト教の一体性を損ない、長期的な対立を生む要因となったのです。
十字軍の影響

第4回十字軍の結果、コンスタンティノープルの陥落は東ローマ帝国にとって致命的な打撃となり、帝国の弱体化を加速させました。1204年、十字軍はヴェネツィア共和国の指導の下、コンスタンティノープルを包囲し、ついにこの都市を征服しました。この出来事は、東ローマ帝国の最後の残存部分に深刻な影響を及ぼし、帝国の衰退を決定づけることとなりました。
また、第四次十字軍は東西教会の分裂を決定的にしました。ラテン人によるコンスタンティノープルの略奪は、ギリシャ正教徒に深い裏切りの感情を植え付け、キリスト教世界に長期的な影響を与えました。この分裂は、後の世代にわたって教会の関係に亀裂を生じさせ、キリスト教徒の間に不信感を生む要因となりました。
さらに、第四次十字軍によるコンスタンティノープルの略奪は、東ローマ帝国の文化的損失をもたらしました。多くの文化財が失われ、帝国の豊かな文化遺産は大きく損なわれました。この文化的損失は、後の世代においても影響を及ぼし、東方の文化と西方の文化の交流を妨げる要因となりました。
最後に、第四次十字軍はラテン帝国を設立し、東ローマ帝国の領土を分割しました。この新たな政権は、元々の目的であったエジプトへの侵攻やエルサレムの奪還とは裏腹に、キリスト教徒同士の対立を深める結果となりました。ラテン帝国の成立は、東ローマ帝国の歴史における重要な転換点であり、地域の政治的状況を大きく変えることとなりました。

歴史的意義

第4回十字軍は、元々は聖地を奪還するための遠征でしたが、最終的にはキリスト教徒同士の争いに発展し、コンスタンティノープルを襲撃する結果となりました。この逸脱は、十字軍が「狂った十字軍」と呼ばれる所以であり、教皇インノケンティウス3世の意向に反して、経済的利益や政治的動機が強く影響したことを示していました。
第四次十字軍は、宗教的な目的を超え、政治的・経済的な動機が強く影響しました。特に、ヴェネツィアとの経済的契約が十字軍の行動を大きく変え、最終的には東ローマ帝国を壊滅させる結果を招きました。
長期的な影響として、第四次十字軍は東西教会の分裂を深め、東ローマ帝国の衰退を加速させました。1204年のコンスタンティノープルの陥落は、ラテン帝国の成立をもたらし、キリスト教徒同士の信頼関係を損なう結果となりました。このように、十字軍の影響は単なる戦争の結果に留まらず、宗教的・文化的な分断を生む要因となったのです。
歴史的教訓として、第四次十字軍は宗教的な名目で行われたが、その結果は複雑で多面的であった。十字軍の目的が逸脱したことは、信仰の名の下に行われた戦争が、いかにして人々の間に分断を生むかを示しているのです。
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『世界史B 用語集』 山川出版社

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