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18_80 イスラーム世界の形成と拡大 / イスラーム帝国の成立

ミスルとは わかりやすい世界史用語1255

著者名: ピアソラ
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アラブ=ムスリムの軍営都市「ミスル」

アラブ=ムスリムの軍営都市「ミスル」は、イスラーム帝国の初期において征服地に設立された軍事拠点および行政中心のことを指します。これらの都市は、イスラーム教徒の軍隊が駐屯し、地域を統治し防衛するために設立されました。

ミスルの歴史

ミスルの概念は、イスラーム帝国の初期、特にラシードゥーン朝(正統カリフ時代)にさかのぼります。最初のミスルは、第二代カリフのウマルの治世(634-644年)に設立されました。ウマルはイスラーム教徒の軍隊を現地の非イスラーム教徒から分離し、軍事的かつ行政的な拠点を確立するためにミスルを設立しました。

ミスルの構造

ミスルは通常、既存の都市の近くに設立され、四角形の都市構造が一般的でした。これらの都市は軍事的な要塞として機能しながら、次第に都市化し、行政および商業の中心地として発展しました。ミスルの中心にはモスクや市場(スーク)、行政機関が配置され、宗教的、経済的、政治的な活動の中心地となりました。

ミスルの役割

ミスルは、イスラーム帝国の拡大と統治において重要な役割を果たしました。以下に、ミスルの主な役割をいくつか挙げます。

軍事的役割

ミスルはイスラーム教徒の軍隊の駐屯地として機能し、征服地を防衛したりさらなる軍事遠征の拠点となったりしました。これにより、イスラーム帝国は効率的に領土を拡大し、支配を強化することができました。

行政的役割

ミスルは地域の行政中心地としても機能し、税の徴収や法の執行が行われました。各ミスルにはカリフによって任命された総督(ワーリー)が配置され、地域の統治にあたりました。

経済的役割

ミスルは商業活動の中心地としても発展しました。市場(スーク)が設立され、商人や職人が集まり、経済活動が活発に行われました。これにより、ミスルは地域経済の発展に寄与しました。

主要なミスル

いくつかのミスルは特に重要な役割を果たしました。以下に代表的なミスルをいくつか紹介します。

クーファ(Kufa)

クーファはイラクに設立された最初のミスルの一つで、ウマルの治世に創設されました。クーファはイスラーム教徒の軍事拠点だけでなく、学問や文化の中心地としても発展しました。

バスラ(Basra)

バスラもイラクに設立されたミスルで、クーファと同様にウマルの治世に設立されました。バスラはペルシャ湾へのアクセスを持つ重要な港湾都市となり、活発な商業活動が行われました。

フスタート(Fustat)

フスタートはエジプトに設立されたミスルで、アムル・イブン・アル=アースによって創設されました。フスタートは後にカイロとして知られる都市の基盤となり、エジプトの行政および経済の中心地として発展しました。

カイラワーン(Kairouan)

カイラワーンは北アフリカに設立されたミスルで、ウクバ・イブン・ナーフィによって創設されました。カイラワーンは北アフリカのイスラーム化の拠点となり、宗教的および学問的な中心地として成長しました。

結論

アラブ=ムスリムの軍営都市ミスルは、イスラーム帝国の初期において重要な役割を果たしました。これらの都市は軍事的な拠点だけでなく、行政、経済、宗教の中心地としても発展しました。ミスルの設立と発展は、イスラーム帝国の成長に寄与しました。
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『世界史B 用語集』 山川出版社

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