ウマイヤ=モスクとは
ウマイヤ=モスクは、シリアの首都ダマスカスの旧市街に位置する、世界最古かつ最大のモスクの一つです。このモスクは、イスラム教のウマイヤ朝のカリフ、ワリード1世(在位705年-715年)によって建設されました。
歴史的背景
ウマイヤ=モスクの敷地は、古代から宗教的に重要な場所とされてきました。紀元前3000年頃、アラメア人が雨の神ハダドに捧げた神殿が存在していました。ローマ帝国時代にはユピテル神殿が建設され、その後ビザンティン帝国の時代には聖ヨハネ大聖堂が建立されました。634年にイスラム教徒がダマスカスを征服した後、この聖堂の一部がムスリムの礼拝所として使用されるようになりました。
建設と建築
アル=ワリード1世は705年にこの大聖堂を取り壊し、新たにモスクを建設するよう命じました。新しいモスクの建設には、イスラム帝国とビザンティン帝国から集められた数千人の労働者と職人が関与し、9年の歳月をかけて完成しました。このモスクは、当時の他のモスクとは異なり、大規模なバシリカ形式の設計が採用されており、三つの平行な通路と、それに直交する中央の通路が特徴です。
建築の特徴
ウマイヤ=モスクは、その壮大な建築と装飾で知られています。特に注目すべきは、約4000平方メートルに及ぶ金のモザイクで覆われた壁面であり、これは世界最大のモザイクの一つとされています。また、モスクの南壁には、幾何学的な模様が施された大理石の格子窓があり、これはイスラム建築における最古の例とされています。
宗教的意義
ウマイヤ=モスクは、イスラム教徒にとって非常に重要な宗教的場所です。特に、預言者ムハンマドの孫であるフサイン・イブン・アリの霊廟があり、彼の殉教はしばしば洗礼者ヨハネやイエス・キリストの殉教と比較されます。また、モスク内には洗礼者ヨハネの頭部が埋葬されているとされる聖域も存在します。
現代のウマイヤ=モスク
ウマイヤ=モスクは、何世紀にもわたり多くの修復と改修が行われてきました。特に、1401年にティムールによって破壊された後、アラブ人によって再建されました。また、1893年の火災によって大きな被害を受けましたが、その後も修復が続けられています。現在でも、ウマイヤ=モスクはその壮大な建築と歴史的意義から、多くの観光客や巡礼者を惹きつけています。
ウマイヤ=モスクは、シリアのダマスカスに位置する、世界で最も古く、かつ最大のモスクの一つです。その歴史は古代に遡り、イスラム教のウマイヤ朝のカリフ、ワリード1世によって建設されました。このモスクは、その壮大な建築、装飾、そして宗教的な意義から、今日でも多くの人々にとって重要な場所となっています。