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世界史における民族の概念とは 世界史用語77

著者名: ピアソラ
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世界史における民族の概念

民族とは、共通の歴史、言語、宗教、文化などに基づいて自己同一性を持つ社会集団のことです。民族は人類社会の基本的な組織形態の一つであり、原始社会では部族、奴隷制や封建制の時代では国民、資本主義や社会主義の時代では国家という形をとりました。民族は社会的な結束力の源泉であると同時に、社会的な対立や紛争の要因でもあります。

民族の概念は、人種や国家と密接に関係していますが、それらとは異なるものです。人種とは、社会的に意味のあるとされる生物学的な特徴によって人類を区別するカテゴリーのことです。しかし、人種は生物学的な根拠のない社会的な構築物であり、科学的には否定されています。人種は、様々な集団の抑圧や搾取を正当化するために利用されたり、白人を優位にする階層や隔離の制度を生み出したりすることで、人間の経験に影響を与えます。国家とは、政治的な運動としての民族の統合の形であり、特定の政治的な単位を確立することを目指すものです。国家は、民族主義という信念を表現することで、民族と同一視されることがあります。

民族の概念の発生と発展

民族の概念は、ヨーロッパの植民地拡張という歴史的な文脈の中で生まれました。ヨーロッパ人は、自分たちとは異なる文化や言語を持つ人々に出会うことで、自分たちのアイデンティティを問い直す必要に迫られました。また、商業主義や資本主義の発展に伴って、人口のグローバルな移動が促進される一方で、国家の境界がより明確に定義されるようになりました。このような状況の中で、民族という概念は、人々が自分たちの出自や文化を理解し、他者との関係を築くための重要な手段となりました。

民族の概念は、ヨーロッパの近代化とともに発展しました。近代化とは、産業革命や市民革命によって、社会や政治、経済が大きく変化した過程のことです。近代化によって、人々は農村から都市へと移動し、伝統的な共同体や慣習から解放され、個人化や合理化が進みました。しかし、近代化は人々に不安や孤独をもたらすとともに、社会の不平等や不安定さをも引き起こしました。このような状況の中で、民族という概念は、人々に安定したアイデンティティや帰属感を提供するとともに、社会の統合や変革の力となりました。

民族の概念は、ヨーロッパの外にも広がりました。ヨーロッパの植民地支配に対する反発や抵抗の動きの中で、被支配民族は自分たちの歴史や文化を再発見し、民族主義という思想を掲げて独立運動を展開しました。また、ヨーロッパからの移民や奴隷の流入によって、新世界やオセアニアなどの地域では、多様な民族が混合し、新たな民族が形成されました。さらに、第一次世界大戦や第二次世界大戦の影響によって、多くの国家の境界が変更され、民族の再編成や再配置が行われました。このように、民族の概念は、世界史の中で様々な変化に適応し、影響を与えました。

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『世界史B 用語集』 山川出版社

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