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ハイデルベルク人とは ドイツで発見された世界史の原人の亜種 世界史用語23

著者名: ピアソラ
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ハイデルベルク人とは

ハイデルベルク人とは、中期更新世(約60万年前から20万年前)にアフリカ、ヨーロッパ、おそらくアジアに存在した原人の一種または亜種です。その名前は、1907年にドイツのハイデルベルク近郊のマウアーで発見された下顎骨に由来します。この下顎骨は、大きく発達した顎と歯、そして顎関節突起の欠如という特徴を持っていました。この化石は、当時としては最も古い人類のものと考えられ、ハイデルベルク人という新種が提唱されました。



しかし、その後の研究では、ハイデルベルク人は単一の種ではなく、アフリカやヨーロッパで異なる形態を示す集団である可能性が高まりました。また、下顎骨以外には明確な診断的特徴が少なく、他の中期更新世の原人と区別するのが困難であることも分かりました。そのため、ハイデルベルク人の分類や進化的位置づけは非常に議論が分かれています。

一般的には、ハイデルベルク人は直立人(Homo erectus)から進化し、現生人類(Homo sapiens)とネアンデルタール人(Homo neanderthalensis)の最も近い共通祖先であると考えられています。しかし、この仮説を支持する決定的な証拠はまだ見つかっていません。また、一部の研究者は、ハイデルベルク人を直立人の亜種(Homo erectus heidelbergensis)や現生人類の亜種(Homo sapiens heidelbergensis)とする見方もあります。

ハイデルベルク人の身体的特徴は、頭蓋容量が平均で1200立方センチメートル(cc)と現生人類と同程度であること、胸部が広く全体的にがっしりした体格であること、眉間隆起や後頭隆起などの原始的な特徴を持ちつつも、顔面が縮小し始めていることなどが挙げられます。身長については、スペインのシマ・デ・ロス・ウエソス(Sima de los Huesos)で発見された化石から推定される平均値が男性で169.5センチメートル(cm)、女性で157.7 cmであり、現生人類とほぼ同じです。



ハイデルベルク人の文化的特徴は、石器技術や火の利用などに現れています。彼らは旧石器時代中期に特徴的なアシューリアン(Acheulian)文化を発展させました。これは、両面に剥片を打ち出して作る手斧や切断器などの石器を含むモードと呼ばれる技術です。また、鹿の角や骨、木などの材料も利用し、削器やハンマー、石製の槍先をつけた木製の投槍などを作りました。火については、40万年前以降に日常生活に不可欠なものとなったと考えられています。これは、ヨーロッパの高緯度地域に恒久的に定住するようになった時期とほぼ一致しています。また、槍を使って協調的な狩猟を行った可能性もあり、肉食への依存度が高かったと推測されます。

ハイデルベルク人は、アフリカやヨーロッパで気候の変動に適応しながら生き延びました。約30万年前には、寒冷で乾燥した時期が始まり、サハラ砂漠がアフリカとユーラシアの間の移動の障壁となりました。この時期には、アフリカとヨーロッパの集団が互いに隔離され、地域的な差異が現れ始めました。その結果、ヨーロッパではネアンデルタール人へ、アフリカでは現生人類へと進化していったと考えられています。
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『世界史B 用語集』 山川出版社

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