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22_80 現代に生きる人間の倫理 / 近代民主主義と人権(モラリスト/社会契約説/カントなど)

イマニュエル・カント『人類の歴史の憶測的な起源』

著者名: bheducate
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 『人類の歴史の憶測的な起源』は、プロイセン王国の哲学者であったイマニュエル・カントImmanuel Kant)による1786年の著作です。カントが、聖書の記述を参考にしながら、人類の歴史の始まりについての憶測を述べた作品です。

内容

 カントはまず、人類の歴史を人間の存在という事実から始めて、しかも、その人間は、母親の援助を必要としたはずがないので、成人であり、子孫を繁殖したので、夫婦であり、すぐに戦争を始めたはずがないので、1組であったとし、そして、猛獣の攻撃から身を守られて、自然によってあらゆる食料が豊富に与えられる場所で、他の動物と同じように、本能だけに従って暮らしていたとしました。しかし、あるとき、本能とは別に、理性という能力が働き始めて、人間は他の動物とは違う生き方をするようになったとカントは主張しました。具体的には、食料についての知識を深めたり、いちじくの葉によって性欲を愛に変えたり、美を好んだり、倫理観を持ったり、将来の出来事を予期して不安になったりするようになりました。さらに、最終的には、人間は、自分達が自然の目的であることを知って、他の動物を手段であり道具であるとみなし、それと同時に、他の人間を自然の賜物を平等に分け合う仲間とみなすようになったとカントは主張しました(ちなみに、この主張は、カントの『人倫の形而上学の基礎づけ』や『実践理性批判』という著作における、「あなたの人格にも他のあらゆる人の人格の中にも存在する人間性を、単に手段としてだけ扱わずに、いつも同時に目的としても扱うように行動しなさい」という主張と深く関係しています)。
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カント『永遠平和のために/啓蒙とは何か 他3編』(光文社古典新訳文庫)

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