こよなし
このテキストでは、ク活用の形容詞「
こよなし」の意味、活用、解説とその使用例を記している。
形容詞・ク活用
未然形 | こよなく | こよなから |
連用形 | こよなく | こよなかり |
終止形 | こよなし | ◯ |
連体形 | こよなき | こよなかる |
已然形 | こよなけれ | ◯ |
命令形 | ◯ | こよなかれ |
■意味1
この上もない、(差が)激しい。
[出典]:
若紫・北山の垣間見 源氏物語
「面つきふくらかに、まみのほど、髪のうつくしげにそがれたる末も、なかなか長きよりも
こよなういまめかしきものかなと、あはれに見給ふ。」
[訳]:顔つきはふっくらとしていて、目元や、きれいに切りそろえられた髪の端も、かえって長いよりも
この上なく現代風であるものだなあと、(光源氏は)しみじみとご覧になります。
※「こよなう」は連用形「こよなく」のウ音便。
■意味2
(優れている点で)
はなはだしい、格別である。
[出典]:帚木 源氏物語
「人にもてかしづかれて、隠るること多く、自然にそのけはひこよなかるべし。」
[訳]:(身分が高い家に生まれた女性は)人に大切に育てられて、(欠点が)隠れることが多く、自然にその有様も格別に優れている(ように見える)に違いない。
■意味3
(劣っている点で)
はなはだしい、格別である。
[出典]:賢木 源氏物語
「三位中将なども、世を思ひ沈めるさまこよなし。」
[訳]:三位の中将なども、世の動向について物思いに沈んでいる様子がはなはだしい。