はじめに
現在行われている選挙には、
小選挙区制度、
大選挙区制度があります。
そして少し前まで
中選挙区制度というものがありました。
ここではそれぞれの制度の概要とメリット・デメリットについて説明をしたいと思います。
小選挙区制度
小選挙区制は、
1つの選挙区から1人の当選者を出す仕組みのことです。この制度を採用することによって、他の制度に比べて
政権交代が起こりやすくなるということが言えるでしょう。
というのも、現与党の政策や方針が気に入らなかった場合、有権者は最大野党に投票をすることになります。(どうしても与党の議員に当選してほしくなかったら、対立候補を必然的に応援することになりますよね)。各選挙区からは1名しか当選ができませんので、その時の与野党の情勢によって、国会の大半を与党議員が占めたり野党議員が占めたりということがでてきます。
つまり、
国民の今の気持ちをストレートに伝えやすい選挙制度であると言えるでしょう。しかしながら、もちろんデメリットもあります。
例えばA候補が100票獲得し、B候補が90票を獲得したとしましょう。すると小選挙区制度において当選者は1人だけですので、A候補が当選することになります。ここで考えてみてください。
B候補に投票した90人の気持ちというものは全く無効になってしまいます。投票したのに、その声を反映してもらえなかった票を「
死票」と呼びます。今回の例ですと、たった10票の差であるにもかかわらず、反映される声と反映されない声がでてきます。
つまり
死票が多くなってしまう、というのがこの制度のデメリットなのです。他にも、少数意見は反映されなくなってしまうといったデメリットがあることも留意しておいてください。
大選挙区制度
大選挙区制度は、
1つの選挙区から複数の当選者を選出する仕組みです。
この制度を採用することで、小選挙区制度のデメリットであった
「死票」を少なくすることができます。しかし一方で、多くの当選者がでてしまうことから、多数政党による政治が行われてしまう(政治の混乱を招く)ことや、1つの政党が圧勝することがないので政権交代が起きにくいといったデメリットもあります。
中選挙区制度
中選挙区制度とは、
1つの選挙区から3名~5名の当選者を選出す仕組みで、大選挙区制度の一種と考えていただければと思います。
中選挙区制では1つの選挙区から3~5人が当選するため、大政党は立候補者を複数たてます。すると各党内では、どの候補を支援するかをめぐってグループが分かれることになります。同じ党であるのに、派閥によって応援する候補者が変わってくる。これによって派閥政治を助長してしまう可能性が高いということで、現在中選挙区制度は廃止されています。