この文章の面白いところ
いい間違いの激しい顕雅卿が、時雨が降ってきたときに「車の降るに時雨さし入れよ」と言った点。本当は「時雨の降るに車さし入れよ」(雨が降るから車を中にいれなさい)と言いたかったのを、時雨と車を逆にして口にしてしまったんですね。
さらにそれに拍車をかけるように、祈祷をするにあたって「そのために三尺のねずみを作り供養せむと思ひ侍る」とも言ってしまいます。本当は「そのために三尺の観音を作り供養せむと思ひ侍る」(三尺の大きさの観音様を作って供養しようと思っております)と言いたかったのを、目の前をねずみが駆けていったことから、観音という言葉をねずみに言い間違えてしまったのです。
単語・文法解説
ぞ~ける | 「ぞ」+連体形で係り結びの法則 |
いみじ | たいそう |
言失 | いい間違い |
神無月 | 10月 |
宮ばら | 「宮腹」とも書く。皇子や皇女を指す |
雑色 | 従者 |