遺伝の法則
メンデルという19世紀の聖職者が、エンドウマメを育てて、「生物の性質はどのように遺伝するのか」という法則を見つけました。
エンドウマメには種にしわがついているものとついてないものがあるのですが、それはなにによって決まるのでしょうか。
しわの有無は、そのエンドウマメがどんな遺伝子を持っているかによって変わります。エンドウマメ界には、しわをつけない遺伝子Aと、しわをつける遺伝子aが存在しています。このとき、Aのほうがaより「強い」遺伝子です。ですので、遺伝子Aのことをを
優性遺伝子、遺伝子aを
劣性遺伝子と呼びます。
ちなみにAとaの関係を、「
互いに対立遺伝子である」といいます。
優生、劣勢とついていますが、遺伝子的に優れている、劣っているという意味ではありませんのでご注意くださいね。
さて、実はどのエンドウマメも、しわに関する遺伝子をふたつペアで持っています。つまりAAをもつエンドウマメ、Aaをもつエンドウマメ、aaをもつエンドウマメの3タイプがいます。
AAをもつエンドウマメ、aaをもつエンドウマメの種は、どのようになるかわかりますか?
もちろん、前者はしわがつかず、後者はしわがつきます。
問題:Aaをもつエンドウマメの種はどうなるのでしょう?
正解は、
しわがつきません!
なぜなら、Aの方がaより「強い」からです。
ちなみにAAやaaを
同型接合体、Aaを
異型接合体といいます。そして、しわの有無みたいな見た目の性質を「
表現型」、AAやAaやaaのような、生物が持っている遺伝子の種類を「
遺伝子型」と呼びます。
ではAAのエンドウマメとaaのエンドウマメの子どもは、どんな種をもったエンドウマメになるのでしょう?このとき、子どもを作ることを「掛け合わせ」とか「交雑」といい、その子どもを「雑種」と呼びます。では実際シミュレートしてみましょう。
という風に遺伝していきます。
この図の書き方は覚えてしまいましょう。
すると、できた子ども(雑種第一代F1とよぶ)の遺伝子型はみなAaで、その種の表現型は「しわなし」となります。このように対立する同型接合体どうし(今回ならAAとaa)を交雑させると、その子どもは必ずみんな優性の表現型となります(今回ならみんなしわがなくなる)。
これを、「
メンデルの優性の法則」と呼びます。
では次にこのF1同士、すなわちAa同士が更に子どもを作ったらどうなるのでしょう?つまり孫はどうなるのでしょう?同じように図を書いてみてみましょう。
さて、どうでしょう?F1のカップルの間には
遺伝子型は、
AA:Aa:aa=1:2:1の割合で子ども(F2) ができ、
表現型は、
「しわなし」:「しわあり」=3:1となります。
このようにF2の表現型が一定の比になることを「
メンデルの分離の法則」といいます。
いままでは種のしわにばかり注目していましたが、他にも当然いろいろな表現型があります。種の色とか、葉っぱの大きさとか、茎の高さとか、色々ありますよね。これらも
上で説明したしわとまったく同じように遺伝します。
種を黄色くする遺伝子をB、緑にする遺伝子をbとすると、F1はみなBbとなり種が黄色くなるし 、F2の割合は「黄色」:「緑色」=3:1となります。
このように色々な表現型がおたがいに影響を受けることなく、それぞれが独立して優性の法則・分離の法則にのっとって遺伝していくことを「
メンデルの独立の法則」と言います。
ではここで練習問題です。しわがなくて黄色の種の同型接合体エンドウマメ(AABB)と、しわがあって緑色の種の同型接合体エンドウマメ(aabb)の間の子どもF1はどうなりますか?さらにその子どもF2はどうなるでしょう?
さっきのように図を書いて比を出してみてください!
答え合わせ。F1は全部AaBbとなり、全部しわなし黄色になります。
F2は
AABB-1こ AaBB‐2こ AABb‐2こ AaBb‐4こ ・・・①
AAbb-1こ Aabb‐2こ・・・②
aaBB-1こ aaBB‐2こ・・・③
aabb-1こ・・・④
になりますね。
①の9こはどんな表現型になりますか?しわなし黄色ですね。②の3こはしわなし緑、③の3こはしわつき黄色、④の1こはしわつき緑になります。
この
9:3:3:1という比も重要なので、もう覚えてしまいましょう!
以上が理解できたらメンデルの遺伝の法則は完璧です。
図を描けるようになることと、できた子どもの遺伝子型と表現型が何なのか分かることが、肝です。
図を書く
遺伝子型と表現型を把握する