文の否定表現~不・無・非・未~書き下し文と読み方
ここでは、漢文の文法の中でも「否定」の意味をもつ文法を説明していきます。
英語で言う「not」や「never」の部分ですね。漢文では、否定の意味を示す語として、不や非、無、未などがあります。これらの語は、動詞や名詞、形容詞などに付けることで、その否定を表現します。
不・無・非・未
不:~せず
代表的な文章です。「
~せず」と読みます。英語でいう「not」にあたります。
送り仮名が「レバ」のときは「~ざれば」と読みます。
古文でいう助動詞「ず」の活用と同じです。
不と同じ働きをするものに「
弗」(フツ)があります。
不知 (ふち):知らず、知らない
不可 (ふか):することができない、してはいけない
無:~なし
2つ目は「
~なし」と読みます。
現代語と同じように「
~がない、~はない」と訳します。
無と同じ働きをするものに「
莫・毋・勿」があります。
無用 (むよう):役に立たない、無駄な
無為 (むい):何もしない、行動しない
非:~にあらず
3つ目は「非」です。まさに否定してそうな漢字ですね。
「
~にあらず」と読み、「
~ではない」と訳します。
現代語でも「それは本物にあらず!」なんて表現、目にすることもありそうですよね。
非常 (ひじょう):普通ではなく、特別な
非人 (ひにん):人ではなく、非人間
未:
最後は、「未」です。
「
まだ~せず ~ない」と読み、「
~決まっていない、未確定の」と訳します。
未来 (みらい):来ていない、未だに起こっていない
未定 (みてい):決まっていない、未確定の
二重否定
また、否定の語を二つ重ねると二重否定という表現になります。二重否定は、「~しないことはない」「~でないことはない」などと訳されます。
例えば、
無不は「~せざることはない」「~しないことはない」と読まれます。
無不快 (むふかい):快しくないことはなく、不快ではない
無不可 (むふか):することができないことはない、不可能ではない
莫非は「~にあらざることはない」「~でないことはない」と読まれます。
莫非人 (ばくひじん):人ではないものはなく、必ず人である
莫非王土 (ばくひおうど):王の領土でないものはなく、必ず王の領土である
以上が漢文の否定表現についての解説でした。それぞれの否定表現に加え、二重否定になると文章の意味が変わるのは面白いですね。