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20_80 民主政治の基本原理と日本国憲法 / 民主政治

フランスの半大統領制とは わかりやすい政治・経済32

著者名: レキシントン
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フランスの政治体制は、世界の民主主義国家の中でもユニークな「半大統領制」を採用しています。この仕組みがどのように成り立ち、どのような特徴を持っているのか、1958年に成立した「第五共和制」の憲法と仕組みを中心に解説します。

1. 第五共和制の誕生と大統領の強力な権限


現在のフランス政治の枠組みは、第二次世界大戦後の混乱を収拾するために政界へ復帰したド・ゴール将軍によって築かれました。これを「第五共和制」と呼びます。この体制の最大の特徴は、大統領に非常に強い権限が与えられている点にあります。

フランスの大統領は、国民による直接選挙で選ばれます。任期はかつて7年でしたが、2002年からは5年へと短縮されました。これは、大統領選挙と国民議会(下院)選挙の時期を合わせることで、政治 of 安定を図る目的があります。また、権力の集中を防ぐため、連続しての三選は禁止(連続2期まで)されています。



大統領の権限は多岐にわたります。

国家の象徴と最高司令官: 国家元首として国を代表し、軍の最高指揮権を持ちます。

行政への介入: 首相を任命する権限を持ち(議会の承認は不要)、閣議を主宰します。

議会への対抗手段: 国民議会(下院)を解散する権利や、重要な法案について国民投票を実施する権利を持っています。

非常事態への対応: 国家の危機に際しては、独裁的な権限を行使することも認められています。

このように広範な権力を持つことから、フランスの大統領制はしばしば極めて強力なものとして語られます。

2. 二院制の議会とその役割


フランスの議会は「国民議会(下院)」と「元老院(上院)」からなる二院制です。

国民議会(下院):
定数は577名で、国民による直接選挙で選ばれます。任期は5年ですが、大統領による解散があります。下院は内閣不信任案を可決する権限を持っており、元老院よりも強い政治的権限を有しています。

元老院(上院):
定数は348名で、地方議員などの選挙人団による間接選挙で選ばれます。任期は6年で、3年ごとに半数が改選されます。元老院には解散がありません。

フランスの立法プロセスでは、法律として扱える範囲が人権や基本的な制度などに限定されており、それ以外の細かな規則は大統領や内閣の命令によって定められる仕組みになっています。これにより、行政側の意思決定がスムーズに行われるよう工夫されています。

3. 内閣と「コアビタシオン」という現象


フランスの内閣は、行政各部を指揮する実務機関です。首相や閣僚は大統領によって任命されますが、国会議員との兼職は禁止されています。

ここで興味深いのが「コアビタシオン(保革共存)」と呼ばれる状態です。通常、大統領は自分の所属する政党から首相を選びますが、国民議会選挙で野党が勝利した場合、大統領は議会の多数派から首相を選ばざるを得なくなります。その結果、大統領(保守派)と首相(革新派)が異なる陣営になるというねじれ現象が生じます。この状態では、大統領の権限が外交や国防に限定され、内政は首相が主導するという役割分担がなされます。

4. 司法制度と憲法評議会


司法面では、大統領や議会下院・上院の議長らが人事に関与する「司法高等会議」が裁判官の管理などを行います。民事・刑さを扱う破棄院(最高裁に相当)や、行政裁判を専門とする参事院など、目的に応じた組織体系が整っています。

また、フランス独自の重要な機関として「憲法評議会」があります。ここでは、国会で成立した法律が施行される前に憲法に違反していないかを審査する「事前審査」の仕組みが伝統的に取られてきました。さらに、2010年からは裁判の過程で法律の違憲性を訴えることができる「事後審査(憲法適合性優先問題:QPC)」の制度も導入され、すでに施行された法律についても違憲判断を下すことが可能になっています。これにより、事前審査のみだったかつての制度から、より多角的に国民の権利を守る仕組みへと発展しています。

5. フランス憲法に刻まれた共和国の精神


フランス憲法の根底には、1789年のフランス人権宣言以来の民主主義の理想が流れています。憲法の冒頭部分や条文には、この国のアイデンティティが明確に記されています。

共和国の性質: フランスは「不可分、非宗教的(ライシテ)、民主的かつ社会的」な共和国であると定義されています。特に「非宗教的」という原則は、政治と宗教を厳格に分離するフランス独自の文化(ライシテ)を象徴しています。

国の象徴: 国旗は「青・白・赤」の三色旗、国歌は「ラ・マルセイエーズ」、そして標語は有名な「自由・平等・博愛(友愛)」です。

主権の所在: 主権は国民に属し、国民が選んだ代表者を通じて、あるいは直接投票によって行使されることが定められています。

フランスの政治システムは、強力なリーダーシップを発揮する大統領制と、国民の意思を反映する議院内閣制の要素を組み合わせた、非常にバランスの取れた(あるいは緊張感のある)構造をしています。歴史的な背景から生まれたこの仕組みは、国の安定と民主主義の両立を目指した、フランスの知恵の結晶と言えるでしょう。
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・フランスの半大統領制とは わかりやすい政治・経済32

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『教科書 政治・経済』 山川出版社

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