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百人一首83『世の中よ道こそなけれ思ひ入る山の奥にも鹿ぞ鳴くなる』現代語訳と解説(係り結び・句切れなど)
著作名: 走るメロス
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百人一首(83)皇太后宮大夫俊成/歌の意味と読み、現代語訳、単語、品詞分解、覚え方

世の中よ 道こそなけれ 思ひ入る 山の奥にも 鹿ぞ鳴くなる


このテキストでは、百人一首に収録されている歌「世の中よ道こそなけれ思ひ入る山の奥にも鹿ぞ鳴くなる」のわかりやすい現代語訳・口語訳と解説(句切れの有無など)、歌が詠まれた背景や意味、そして品詞分解を記しています。この歌は、百人一首の他に千載和歌集にも収録されています。



百人一首とは

百人一首は、平安時代末期から鎌倉時代初期にかけて活動した公家・藤原定家が選んだ和歌集です。100人の歌人の和歌を、1人につき1首ずつ選んで作られています。百人一首と言われれば一般的にこの和歌集のことを指し、小倉百人一首(おぐらひゃくにんいっしゅ)とも呼ばれます。


暗記に役立つ百人一首一覧

以下のテキストでは、暗記に役立つよう、それぞれの歌に番号、詠み手、ひらがなでの読み方、そして現代語訳・口語訳を記載し、歌番号順に一覧にしています。

暗記に役立つ百人一首一覧


原文

世の中よ 道こそなけれ 思ひ入る 山の奥にも 鹿ぞ鳴くなる

ひらがなでの読み方

よのなかよ 道こそなけれ 思ひ入る 山の奥にも 鹿ぞ鳴くなる



現代語訳

この世の中には(辛さから逃れる)道はないものだよ。思いつめて入った山の奥でも鹿が(悲しげな声で)鳴いていることよ。


解説・鑑賞のしかた

この歌の詠み手は、平安時代後期の公家藤原俊成(ふじわら の としなり/しゅんぜい)です。百人一首では、皇太后宮大夫俊成(こうたいごうぐう の だいぶとしなり)として収録されています。藤原道長の玄孫、藤原定家の父で、千載和歌集の撰者としても知られます。

平安時代末期の歌檀の大家として知られ、平清盛の異母弟である平忠度も弟子の1人でした。平忠度との絆を感じさせるエピソードが平家物語に描かれています。

平家物語『忠度の都落ち』の現代語訳


主な技法・単語・文法解説

句切れ

二句切れ。


品詞分解

※名詞は省略しています。



世の中
間投助詞
こそ係助詞・係り結び
なけれク活用の形容詞「なし」の已然形
思ひ入るラ行四段活用「おもひひる」の連体形
格助詞
格助詞
係助詞
鹿
係助詞・係り結び
鳴くカ行四段活用「なく」の終止形
なる推定の助動詞「なり」の連体形



著者情報:走るメロスはこんな人

学生時代より古典の魅力に取り憑かれ、社会人になった今でも休日には古典を読み漁ける古典好き。特に1000年以上前の文化や風俗をうかがい知ることができる平安時代文学がお気に入り。作成したテキストの総ページビュー数は1,6億回を超える。好きなフレーズは「頃は二月(にうゎんがつ)」や「月日は百代の過客(くゎかく)にして」といった癖のあるやつ。早稲田大学卒業。

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