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百人一首『やすらはで寝なましものを小夜ふけて傾くまでの月を見しかな』現代語訳と解説 |
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著作名:
走るメロス
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やすらはで 寝なましものを 小夜ふけて 傾くまでの 月を見しかな
このテキストでは、百人一首に収録されている歌「やすらはで寝なましものを小夜ふけて傾くまでの月を見しかな」のわかりやすい現代語訳・口語訳と解説(歌枕・縁語など)、そして品詞分解を記しています。この歌は、百人一首の他に後拾遺和歌集にも収録されています。
百人一首は、平安時代末期から鎌倉時代初期にかけて活動した公家・藤原定家が選んだ和歌集です。100人の歌人の和歌を、1人につき1首ずつ選んで作られています。
やすらはで 寝なましものを 小夜ふけて 傾くまでの 月を見しかな
やすらはで ねなましものを さよふけて かたぶくまでの つきをみしかな
(あなたが来ないとわかっていたなら)ためらわないで寝てしまったでしょうに。(あなたが来るのを待ち続け)夜が更けて、西の空に傾くまで月を眺めたことですよ。
この歌の詠み手は、赤染衛門(あかぞめえもん)です。藤原道長の正室やその娘、中宮彰子に仕えました。紫式部や和泉式部とは同僚で、その和歌の才能は和泉式部と並んで称されました。
詞書によると、赤染衛門の姉妹のところに通っていた男性が、「行きます」と言ってその気にさせてきたのに、結局は通ってこなかった。その姉妹に代わって詠んだ歌とされています。
一句切れ。
※名詞は省略しています。
やすらは | ハ行四段活用「やすふらふ」の未然形 |
で | 接続助詞 |
寝 | ナ行下二段活用「ぬ」の連用形 |
な | 完了の助動詞「ぬ」の未然形。確述の意味で用いている。 |
まし | 反実仮想の助動詞「まし」の連体形 |
ものを | 終助詞 |
小夜 | ー |
ふけ | カ行下二段活用「ふく」の連用形 |
て | 接続助詞 |
傾く | カ行四段活用「かたぶく」の連体形 |
まで | 副助詞 |
の | 格助詞 |
月 | ー |
を | 格助詞 |
見 | マ行上一段活用 |
し | 過去の助動詞「き」の連体形 |
かな | 詠嘆の終助詞 |
学生時代より古典の魅力に取り憑かれ、社会人になった今でも休日には古典を読み漁ける古典好き。特に1000年以上前の文化や風俗をうかがい知ることができる平安時代文学がお気に入り。作成したテキストの総ページビュー数は1,6億回を超える。好きなフレーズは「頃は二月(にうゎんがつ)」や「月日は百代の過客(くゎかく)にして」といった癖のあるやつ。早稲田大学卒業。
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