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ヒエラティック(神官文字)とは 世界史用語162
著作名: ピアソラ
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ヒエラティック(神官文字)とは

ヒエラティック(神官文字)とは、古代エジプト語を書くために使われた筆記体の文字のことです。ヒエラティックという名前は、ギリシャ語で「祭司の文字」という意味で、この時代にはヒエラティックは主に宗教的な文書や文学に使われていたからです。しかし、実際にはヒエラティックは、紀元前3千年紀から紀元後3世紀までの約3千年間、行政や法律、会計、手紙、数学、医学などのさまざまな分野で使われた多目的な文字でした。

ヒエラティックは、古代エジプトの象形文字(ヒエログリフ)から発展した文字です。象形文字は、石や壁に彫ったり描いたりするために適した絵のような文字でしたが、ヒエラティックは、パピルスに筆と墨で書くために適した書きやすい文字でした。ヒエラティックは、象形文字と同じように音節や子音を表す文字と、意味を補う記号(決定符)を組み合わせて書きましたが、筆記体のために文字の形が簡略化されたり変化したりしました。また、ヒエラティックは、象形文字とは異なり、一方向にしか書きませんでした。最初は縦書きでしたが、紀元前2000年頃から横書きになりました。ヒエラティックは、時代や地域によっても変化しましたが、基本的には象形文字と同じ言語を表していました。

ヒエラティックは、古代エジプトの歴史の中で最も重要な文字であり、日常生活で使われる文字でした。学校では、まずヒエラティックを教えられ、象形文字を知るのは少数の特別な人だけでした。紀元前7世紀には、ヒエラティックよりもさらに筆記体になったデモティックという文字が登場しました。デモティックは、北エジプトでヒエラティックや南エジプトの異常ヒエラティックという略式の文字に代わって、一般的な文書や手紙に使われるようになりました。ヒエラティックは、デモティックや後にギリシャ語に取って代わられるまで、宗教的な文書や文学に使われ続けました。

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