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ヒエログリフ(神聖文字)とは 世界史用語161
著作名: ピアソラ
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ヒエログリフ(神聖文字)とは

ヒエログリフ(神聖文字)とは、紀元前3200年頃から紀元4世紀頃まで、エジプト語を表すために使われた文字体系です。ヒエログリフという言葉は、ギリシャ語で「聖なる文字」という意味で、古代ギリシア人はエジプトの文字が神聖なものだと考えていました。エジプト人自身は、ヒエログリフを「神々の言葉」と呼んでいました。

ヒエログリフは、約1000種類以上の記号からなり、それぞれが単語、音節、または音素を表していました。また、単語の意味を明確にするために、記号の最後に置かれる決定符と呼ばれる記号もありました。ヒエログリフは、主に石や木に刻まれた碑文や壁画に使われ、宗教的な文書や歴史的な記録を残すために用いられました。ヒエログリフは、時代とともに変化し、中王国時代には約750種類に減りました。新王国時代には、ヒエログリフの筆記体として、ヒエラティックと呼ばれる文字が発達しました。ヒエラティックは、パピルスや木に書かれた日常的な文書や文学作品に使われました。さらに、後期には、ヒエラティックから派生したデモティックと呼ばれる文字も登場しました。デモティックは、より簡略化された文字で、商業や法律などの分野に使われました。



ヒエログリフの起源は、はっきりとは分かっていませんが、いくつかの説があります。一つの説は、ナイル川の西の砂漠に住んでいた先史時代の狩猟民が、絵画でコミュニケーションをとっていたことに由来するというものです。この狩猟民が描いた岩絵のモチーフの一部は、エジプトの先王朝時代の土器にも見られます。

ヒエログリフは、紀元4世紀頃まで使われ続けましたが、キリスト教が広まるにつれて、異教の寺院が閉鎖され、ヒエログリフの知識は失われていきました。中世や近世には、ヒエログリフを解読する試みがありましたが、成功しませんでした。ヒエログリフの解読がついに成し遂げられたのは、1820年代になってからのことでした。フランス人のジャン=フランソワ・シャンポリオンが、紀元前2世紀のロゼッタ・ストーンを手がかりにして、ヒエログリフとデモティックとギリシャ語の三種類の文字が書かれた碑文を解読しました。ロゼッタ・ストーンは、1799年にナポレオンのエジプト遠征隊によって発見されたもので、エジプトの文字の解読にとって重要な役割を果たしました。

現在、古代エジプトの文書に含まれる単語の数は、約500万語と推定されていますが、重複を別にすれば、約1000万語になると考えられています。古代エジプト語の最も完全な辞書は、『エジプト語辞典』というもので、約150万語から170万語を収録しています。

ヒエログリフは、列や行で読むことができますが、方向は記号の向きによって決まります。例えば、動物の記号が右を向いている場合は、右から左に読みますが、左を向いている場合は、左から右に読みます。また、上から下に読む場合もあります。ヒエログリフの読み方は、音声的にも意味的にも複雑で、同じ記号でも、発音や意味が異なる場合があります。そのため、ヒエログリフを正確に読むには、エジプト語の文法や語彙に精通している必要があります。

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