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エジプト語派とは 世界史用語88
著作名: ピアソラ
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エジプト語派とは

エジプト語派とは、アフロ・アジア語族の一派で、古代エジプト語とその子孫であるコプト語を含む言語群のことです。エジプト語派は、紀元前4千年紀から紀元後10世紀まで、エジプトで話されていた歴史的に重要な言語です。エジプト語派は、ヒエログリフやヒエラティック、デモティック、コプト文字など、様々な文字体系で記録されています。エジプト語派は、アフロ・アジア語族の中でも独自の発展を遂げた言語で、他の言語との類似点や相違点が研究されています。



エジプト語派の最古の言語である古代エジプト語は、紀元前4千年紀にヒエログリフとして書かれ始めました。ヒエログリフは、象形文字と音素文字の混合で、約700の記号がありました。ヒエログリフは、主に石碑や壁画などに刻まれていましたが、筆記用にはヒエラティックという筆記体が使われました。ヒエラティックは、ヒエログリフの簡略化された形で、パピルスや木片などに書かれました。

古代エジプト語は、時代や地域によって変化しました。古王国時代(紀元前27世紀~紀元前22世紀)には、古エジプト語と呼ばれる言語が使われました。古エジプト語は、ピラミッドの内部に書かれたピラミッド文や、古王国の文学作品に見られます。中王国時代(紀元前21世紀~紀元前17世紀)には、中エジプト語と呼ばれる言語が使われました。中エジプト語は、古エジプト語に比べて文法や語彙が変化しました。中エジプト語は、中王国の文学作品や、後の時代の宗教的な文書に見られます。新王国時代(紀元前16世紀~紀元前11世紀)には、新エジプト語と呼ばれる言語が使われました。新エジプト語は、中エジプト語に比べて音韻や文法が変化しました。新エジプト語は、新王国の文学作品や、外交文書や法律文書などに見られます。

紀元前7世紀から紀元前4世紀にかけて、エジプトはアッシリアやペルシアなどの外国の支配を受けました。この時期には、デモティックと呼ばれる言語が使われました。デモティックは、ヒエラティックのさらに簡略化された形で、日常的な文書や文学作品に書かれました。デモティックは、ロゼッタストーンの一部としても知られています。ロゼッタストーンは、紀元前2世紀に書かれた石碑で、ヒエログリフとデモティックとギリシア語の3種類の文字で同じ内容が書かれています。ロゼッタストーンは、19世紀初頭にシャンポリオンによって解読され、古代エジプト語の研究に大きな貢献をしました。

紀元前4世紀から紀元後7世紀にかけて、エジプトはギリシアやローマなどの支配を受けました。この時期には、コプト語と呼ばれる言語が使われました。コプト語は、デモティックの子孫で、ギリシア文字を基礎としたコプト文字で書かれました。コプト語は、キリスト教の布教や文学に用いられました。コプト語は、古代エジプト語の最後の段階であり、現在でもコプト教会の典礼言語として使われています。

エジプト語派は、アフロ・アジア語族の他の言語との関係について、様々な説があります。伝統的には、エジプト語派は、ベルベル語派やセム語派などと同じく、ハム語派と呼ばれる枝に属すると考えられてきました。ハム語派は、アフロ・アジア語族の中でも北アフリカや西アジアに分布する言語を含むとされています。しかし、近年では、ハム語派の概念に疑問が呈されており、エジプト語派は、アフロ・アジア語族の中でも独立した位置にあるとする見方もあります。エジプト語派は、他のアフロ・アジア語族の言語と共通する特徴を持ちながらも、独自の特徴を持っています。例えば、エジプト語派は、アフロ・アジア語族の典型的な特徴である母音調和や声門音の存在を欠いています。また、エジプト語派は、他のアフロ・アジア語族の言語と比べて、語根の構造や形態論の複雑さが異なっています。

エジプト語派は、古代エジプトの文明や文化を伝える貴重な言語です。エジプト語派は、長い歴史の中で変化し、多様な文字で記録されました。エジプト語派は、アフロ・アジア語族の中でも独自の発展を遂げた言語で、他の言語との類似点や相違点が研究されています。エジプト語派は、現在でもコプト語として生き続けており、古代エジプト語の研究にも貢献しています。

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