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礫石器とは 自然石を用いた石器 世界史用語26
著作名: ピアソラ
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礫石器とは何か?

人類の歴史は、石器の発達とともに進んできました。石器は、人類が自然に対抗し、生活を豊かにするために用いた最初の道具です。石器は、その製作方法や形態によってさまざまな時代や地域に分類されますが、その中でも最も古く、最も原始的なものが礫石器です。

礫石器とは、自然石を打ち欠いただけの打製石器のことです。礫石器は、丸くて大きな礫や岩塊から一方向に剥片を打ち出して刃部を作ったもので、切る・削る・叩くなどの用途に使われました。

礫石器は、人類が道具を使う能力や知能を発達させた証拠として重要な意味を持ちますが、その製作技術や使用方法は非常に単純であり、自然石との区別が困難なものも多いとされています。



礫石器の特徴と製作方法

礫石器は、自然に存在する丸くて大きな礫や岩塊から作られます。そのため、材料として選ばれる石は、割れやすくて鋭い刃ができるような火山岩や珪質岩などが多く、火打ち石やチャートなどの高品質な材料はあまり使われませんでした。

礫石器の製作方法は非常に単純であり、基本的には以下のような手順で行われます。

材料となる礫や岩塊を選ぶ。
打撃用の別の礫や岩塊を用意する。
材料となる礫や岩塊の一方の端から打撃用の礫や岩塊で何度か叩く。
叩いた部分から剥片が飛び出して刃部ができる。
刃部の形や大きさに応じて、切る・削る・叩くなどの用途に使う。
このように、礫石器は一方向に剥片を打ち出すことで刃部を作る石器であり、石器製作の最も原始的な方法であり、礫石器以外にも、後の時代の石器文化でも用いられました。

形態

礫石器は、その形態によって主に以下の三種類に分類されます。
チョッパー(chopper):刃部が一つだけある礫石器で、丸みを帯びた形をしています。切る・削る・叩くなどの用途に使われました。
チョッピング・ツール(chopping tool):刃部が二つ以上ある礫石器で、角ばった形をしています。チョッパーよりも多様な用途に使われました。
手斧(hand axe):刃部が全周にある礫石器で、細長い形をしています。切る・削る・突くなどの用途に使われました。
これらの形態は、材料となる礫や岩塊の形や大きさ、製作者の技術や意図などによって変化しました。また、これらの形態は互いに連続

礫石器の分布

礫石器は、アフリカ大陸を中心に、ユーラシア大陸やインドネシアなどの島嶼部にも広く分布しています。礫石器は、人類の起源と進化の過程において重要な役割を果たしたと考えられており、その分布は、人類の拡散や適応の歴史を示すものとして注目されています。

例えば、東アフリカでは約160万年前から手斧が出現しましたが、南アフリカでは手斧がほとんど見られず、チョッパーやチョッピング・ツールが主流でした。また、西アジアでは約100万年前から礫石器に加工された動物の骨や角が混在するようになりましたが、これは人類が動物を捕獲して食用や道具に利用したことを示すものです。



礫石器の考古学的意義

礫石器は、人類が道具を使う能力や知能を発達させた証拠として重要な意義を持ちます。礫石器は、自然石を打ち欠いて刃部を作ることで、自然に対する操作性や効率性を高めました。礫石器は、切る・削る・叩くなどの用途に使われ、人類の食料や資源の獲得や加工を可能にしました。礫石器は、人類の生活圏や行動範囲を拡大し、人類の適応能力や社会性を向上させました。

礫石器は、人類の進化の過程において重要な役割を果たしたと考えられており、その製作技術や使用方法は非常に単純であり、自然石との区別が困難なものも多いとされています。しかし、その単純さゆえに、礫石器は人類の最も原始的な文化的な遺産として貴重なものです。礫石器は、人類が自然に対抗し、生活を豊かにするために用いた最初の道具です。

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