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沙石集『いみじき成敗/正直の徳』の品詞分解2(国主、眼さかしくして〜)
著作名: 走るメロス
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いみじき成敗/正直の徳

このテキストでは、沙石集の一節「いみじき成敗」(国主、眼さかしくして〜)の品詞分解、敬意の向きを記しています。書籍によっては「正直の徳」と題するものもあるようです。2回に渡ってお送りしていますが、このテキストはその2回目です。



※前回のテキスト:品詞分解「いみじき成敗/正直の徳」(国の守、眼さかしくして〜)

※現代語訳:「いみじき成敗/正直の徳」現代語訳と文法解説

※沙石集は、鎌倉時代中期に無住(むじゅう)によって書かれた仏教説話集です。

品詞分解

※名詞は省略しています。


国の守、眼さかしくして、この主は不実の者、この男は正直の者と見ながら、なほ不審なりければ、彼の妻を召して、別の所にして、事の子細を尋ぬるに、夫が申し状に少しもたがはず。

単語品詞敬意の向き
国守、
さかしくシク活用の形容詞「さかし」の連用形
して、接続助詞
代名詞
格助詞
係助詞
不実
格助詞
者、
代名詞
格助詞
係助詞
正直
格助詞
格助詞
マ行上一段活用「みる」の連用形
ながら、接続助詞
不審なりナリ活用の形容動詞「ふしんなり」の連用形
けれ過去の助動詞「けり」の已然形
ば、接続助詞
代名詞
格助詞
格助詞
召しサ行四段活用「めす」の連用形・尊敬語作者→国守
て、接続助詞
格助詞
にて、格助詞
格助詞
子細
格助詞
尋ぬるナ行下二段活用「たづぬ」の連体形
に、接続助詞
格助詞
格助詞
少しも副詞
たがはハ行四段活用「たがふ」の未然形
ず。打消の助動詞「ず」の終止形



この妻は極めたる正直の者と見て、かの主不実のこと確かなりければ、国の守の判に言はく、

単語品詞敬意の向き
代名詞
格助詞
係助詞
極めたる連体詞
正直ナリ活用の形容動詞「しょうじきなり」の語幹
格助詞
格助詞
マ行上一段活用「みる」の連用形
て、接続助詞
代名詞
格助詞
不実ナリ活用の形容動詞「ふじつなり」の語幹
格助詞
こと
確かなりナリ活用の形容動詞「たしかなり」の連用形
けれ過去の助動詞「けり」の已然形
ば、接続助詞
国守
格助詞
格助詞
言はく、ハ行四段活用「言ふ」のク語法



「このこと確かの証拠なければ判じがたし。ただし、共に正直の者と見えたり。夫婦また言葉たがはず。主の言葉も正直に聞こゆれば、七つあらむ軟挺を尋ねて取るべし。これは六つあれば、別の人のにこそ。」

単語品詞敬意の向き
代名詞
格助詞
こと
確かナリ活用の形容動詞「たしかなり」の語幹
格助詞
証拠
なけれク活用の形容詞「なし」の已然形
接続助詞
判じがたし。ク活用の形容詞「はんじがたし」の終止形
ただし、接続助詞
共に連語
正直ナリ活用の形容動詞「しょうじきなり」の語幹
格助詞
格助詞
見えヤ行下二段活用「みゆ」の連用形
たり。完了の助動詞「たり」の終止形
夫婦
また副詞
言葉
たがはハ行四段活用「たがふ」の未然形
ず。打消の助動詞「ず」の終止形
格助詞
言葉
係助詞
正直にナリ活用のの形容動詞「しょうじきなり」の連用形
聞こゆれヤ行下二段活用「きこゆ」の已然形
ば、接続助詞
七つ
あらラ行変格活用「あり」の未然形
婉曲の助動詞「む」の連体形
軟挺
格助詞
尋ねナ行下二段活用「たづぬ」の連用形
接続助詞
取るラ行四段活用「とる」の終止形
べし。命令の助動詞「べし」の終止形
これ代名詞
係助詞
六つ
あれラ行変格活用「あり」の已然形
ば、接続助詞
格助詞
格助詞
断定の助動詞「なり」の連用形
こそ。」係助詞



とて、六つながら夫婦に賜びけり。宋朝の人、いみじき成敗とぞ、あまねく褒めののしりける。

単語品詞敬意の向き
とて、格助詞
六つ
ながら接続助詞
夫婦
格助詞
賜びハ行四段活用「たぶ」の連用形・尊敬語作者→国守
けり。過去の助動詞「けり」の終止形
宋朝
格助詞
人、
いみじきシク活用の形容詞「いみじ」の連体形
成敗
格助詞
ぞ、係助詞
あまねくク活用の形容詞「あまねし」の連用形
褒めののしりラ行四段活用「ほめののしる」の連用形
ける。過去の助動詞「けり」の連体形


※前回のテキスト:品詞分解「いみじき成敗/正直の徳」(国の守、眼さかしくして〜)

※現代語訳:「いみじき成敗/正直の徳」現代語訳と文法解説

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