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古文単語「かつ」の意味・解説【副詞/接続詞】
著作名: 走るメロス
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かつ

このテキストでは、古文単語「かつ」の意味、活用、解説とその使用例を記している。

※「かつ」は
①副詞
②接続詞
としての用法がある。

①副詞

意味1

一方では

[出典]ゆく河の流れ 方丈記
「よどみに浮かぶうたかたは、かつ消えかつ結びて、久しくとどまりたるためしなし。」

[訳]:(河の流れの)よどみに浮かんでいる水の泡は、一方では(形が)消え(てなくなり)一方では(形が)できたりして、長い間(そのままの状態で)とどまっている例はない。


意味2

すぐに、次から次へと

[出典]をりふしの移り変わるこそ 徒然草
「おぼしきこと言はぬは腹ふくるるわざなれば、筆にまかせつつ、あぢきなきすさびにて、かつ破り捨つべきものなれば、人の見るべきにもあらず。」

[訳]:こうあって欲しいと思うことを口にしないのは(お腹が膨れるような)気持ちが悪いことなので、(この文章は)筆の(勢い)にまかせながら(書いた)、つまらない気慰みで、(書いては)すぐに破り捨てるべきものだから、人が見るようなものでもない。




意味3

わずかに、ちょっと

[出典]:明石 源氏物語
かつ見るにだに飽かぬ御さまを、『いかで隔てつる年月ぞ』とあさましきまで思ほすに...」

[訳]ちょっと目にするだけでは満足できないご様子ですが、「どうして長い間会わずにいられたのだろうか。」と、あきれるほどお思いになるにつけても...


意味4

(「見る/聞く/知る」などの上について)
すでに、あらかじめ

[出典]:万葉集 大伴家持
「世の中し常かくのみとかつ知れど痛き心は忍びかねつも」

[訳]:世の中は常にこのようなことばかりだとすでに知ってはいるが、つらい気持ちは堪えがたいものだ。




②接続詞

意味

そのうえ、それに加えて

※この用法が用いられるのは、近世以降の作品。
[出典]:宮城野 奥の細道
「猶、松島・塩がまの所々画に書きて送る。、紺の染緒つけたる草鞋二足餞す。」

[訳]:それから(加右衛門は)松島や塩釜のあちらこちら絵に描いて、送ってくれる。そのうえ紺色の染緒のついた草鞋二足を餞別としてくれる。


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