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夏目漱石のおもな小説のまとめ
著作名: 春樹
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はじめに

夏目漱石は明治から大正時代にかけて活躍した小説家です。坊ちゃん吾輩は猫であるといった作品をご存じの方も多いでしょう。
ここでは、夏目漱石のおもな作品とちょっとしたあらすじをまとめています。
坊ちゃん

主人公の坊っちゃんは、「親譲りの無鉄砲で子供の頃から損ばかりしている」まがったことが大嫌いな性格の持ち主です。

大学を卒業したあとに教師として母校に戻ります。しかし教師生活は順調とはいかずに・・・
いたずらをしてくる生徒や、問題をうやむやにして事なかれ主義をとろうとするいけすかない教頭とのやりとりを描いた作品です。
吾輩は猫である

吾輩(わがはい)は猫である。名前はまだ無い。どこで生れたかとんと見当がつかぬ。
という書き出しで始まるこの小説は、生まれて間もなく捨てられた名もない猫(吾輩)が、珍野苦沙弥(ちんのくしゃみ)の家に落ち着き、猫(吾輩)の視点から人間模様をおもしろおかしく観察した手記です。

漱石の処女作である『吾輩は猫である』は、1905年に『ホトトギス』にて連載された長編小説です。物語は、名前のない雄猫(吾輩)が、苦沙弥という主人の家で暮らす中で、人間の暮らしや社会を観察し、哲学的な思索に耽るという内容です。吾輩は、主人やその友人たち、近所の人々や他の猫たちとの交流を通じて、人間や猫の間にある愚かさや滑稽さを風刺的に描き出していきます。そして、物語の結末である最終話では、吾輩は飲み残したビールに酔って水甕に落ち、不慮の事故によって命を落としてしまうのです。

三四郎

この長編小説は、夏目漱石の代表作の一つであり、1908年に朝日新聞で連載された作品です。

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夏目漱石のおもな小説のあらすじまとめ(坊ちゃん・吾輩は猫である・三四郎・こころ)

物語の主人公である三四郎は、九州の田舎から東京の帝国大学に進学した青年です。大学で出会った先輩の不良行為や恋愛の悩み、そして自由奔放な美禰子との恋愛模様を通じて、自分の生き方を模索する様子が描かれています。

この小説は、明治時代末期の日本の社会や文化を背景に、青春期の若者たちの心理や感情を描いた作品です。当時の日本社会は急速な近代化が進んでおり、西洋的な個人主義や自由主義と、日本的な伝統や道徳との葛藤が生じていました。そのような社会情勢の中で、三四郎たちは自分自身の個性や価値観を確立しようと奮闘します。

また、「三四郎」は、夏目漱石が「吾輩は猫である」や「坊っちゃん」といった作品で既に示してきた、人間の内面を深く描写する手法が見られる作品です。特に、三四郎が自分自身と向き合い、自己のアイデンティティを確立していく過程は、非常にリアリティがあり、現代の読者にも共感を呼びます。

「三四郎」は、夏目漱石の代表作として高く評価されています。その描写力や、当時の日本社会の情勢を反映したストーリー展開が、文学史に大きな影響を与えたと言われています。

熊本から東京大学に入学するために上京する途中だった主人公の三四郎は、旅の途中で東京大学の広田先生、そして物語のヒロインである里見美禰子(さとみみねこ)と出会います。その後東京で運面的な出会いをした彼らを中心に物語が進みます。

自分の常識とはまったく異なる東京を目の前にとまどう三四郎が、さまざまな人と出会い成長してく様を描いた作品です。
こころ

主人公の「私」は、鎌倉を旅行していたときに「先生」と出会います。
この先生には、何年もの間、ずっと悩み続けていることがありました。

その昔、先生と友人Kは同じ女性のことが好きでした。はじめに女性のことが好きだと相談してきたのは友人のKです。しかし先生もまたその女性のことが好きだったので、「お前にはむいていない」といって友人Kの心をそいでしまいます。しかしその間に、なんと先生はその女性と結婚をしてしまうのです。友人Kはそれを知ってショックを受けて自殺していまいます。

先生は、友人よりも恋人をとったことで友人Kを自殺させてしまったのではないかという思いにずっと悩まされていたのです。
結局先生は、自分の秘密を「私」にだけ手紙で打ち明け、自殺をしてしまいます。

先生は、奥さんには何も知らないまま生きていてほしいと願う一方で、誰かには自分が自殺する理由を知ってほしいと思い、「私」に手紙をよこしたのでしょう。

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