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枕草子の冒頭『春はあけぼのやうやう白く~』の現代語訳
著作名: 春樹
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枕草子の冒頭『春はあけぼのやうやう白く~』の現代語訳

枕草子といえば、日本の古典の中でも非常に有名なものです。

「枕の草紙」とは、約300の部分に分かれた随筆のことで、大まかに以下の3つの種類に分けられます。

「類聚(るいじゅう)」の部分:特定のテーマに関連する内容が書かれています。たとえば、「山について」「虫について」「木の花について」といったものがあります。

「日記(にっき)」の部分:清少納言が宮廷での経験や出来事を書いた部分です。例えば、「中宮定子と一条天皇の出会い」「岩清水八幡宮への訪問」「中宮定子の死」といった内容があります。

「随想(ずいそう)」の部分:清少納言が考えたことや感じたことを書いた部分です。例えば、「すごいもの(すさまじきもの)」「美しいもの(美しきもの)」「さまざまなもの(ものづくし)」などの内容があります。ものづくしとは、歌謡の形式の一つで、同じ種類のものを列挙したような歌謡のことを指します。

「枕の草紙」は、清少納言が日常の生活や四季の自然を観察し、宮廷社会を振り返って、彼女ならではの繊細で鋭い見方を述べています。彼女は物事に対して「趣や風情があること」を感じる感性を持っており、それを「をかし」と表現しています。この本は、清少納言が感じた「をかし」の美しい世界を描いた作品と言えます。

「枕の草紙」は、ひらがなを中心とした日本語で書かれており、基本的には短い文でまとめられています。

ここでは、清少納言が書いた枕草子の冒頭、「春はあけぼの」から「冬はつとめて」までをみていきます。

品詞分解はこちら





【原文】

春はあけぼの。やうやう白くなりゆく山際、少し明かりて、紫だちたる雲の細くたなびきたる。

夏は夜。月のころはさらなり、闇もなほ、蛍の多く飛びちがひたる。また、ただ一つ二つなど、ほのかにうち光て行くもをかし。雨など降るもをかし

秋は夕暮れ。夕日の差して山の端いと近うなりたるに、烏の寝所へ行くとて、三つ四つ、二つ三つなど飛び急ぐさへあはれなり。まいて雁などの連ねたるが、いと小さく見ゆるは、いとをかし。日入り果てて、風の音、虫の音など、はた言ふべきにあらず。





冬はつとめて。雪の降りたるは言ふべきにもあらず、霜のいと白きも、またさらでもいと寒きに、火など急ぎおこして、炭持て渡るも、いとつきづきし。昼になりて、ぬるくゆるびもていけば、火桶の火も、白き灰がちになりてわろし

【現代語訳】

春は明け方がいい。だんだんと白くなってゆく山際の方の曽良が、少し明るくなって、紫がかった雲が細くたなびいているのがいい。

夏は夜がいい。月が輝いている時間帯は言うまでもなく、闇(月が登っていない)のときでも、蛍が多く飛んでいるのがいい。また、たくさん飛び交ってはいなくても、蛍が一匹二匹とほのかに光って飛んでいるのも趣がある。雨が降っているときも趣がある。





秋は夕暮れがいい。夕日が落ちてきて山の端が近く感じるようになってきたころに、烏が巣に帰ろうと、三羽四羽、二羽三羽と飛び急いでいる様子にさえ心がひかれる。ましてや雁などが列をつくって飛んでいる様子が小さく見えるのはとても趣があってよい。日が沈んでしまってから聞こえてくる風の音や虫の音なども、言うまでもなくよい。

冬は早朝がいい。雪が降っているときは言うまでもない。霜がおりて白くなっているのも、またとても寒い時に、火を急いで起こそうと炭をもってくるのも冬の朝に大変似つかわしい。しかし、昼になってだんだんと暖かくなったときに、火桶の火も白い灰になってしまっているのは似つかわしくない。

【単語チェック】

単語意味
さらなり言うまでもない
をかし趣があってよい
あはれなりしみじみと心に響く
つきづきし似つかわしい
わろし似つかわしくない・みっともない


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