アメリカ合衆国の「永遠の繁栄」
第一次世界大戦中、ヨーロッパ各地で行われた戦争を援助していたアメリカ合衆国は、戦後イギリスに代わり、
債務国から世界最大の
債権国に変貌しました。
戦時中より、アメリカ経済は著しい経済を遂げ、1920年代の工業生産力は、世界のどの地域をも圧倒し、「
永遠の繁栄」という状況が続いていました。
暗黒の木曜日
著しい成長を遂げていたアメリカ経済ですが、1929年10月24日、
ニューヨーク株式市場の株価が大暴落します。大恐慌の引き金となる「
暗黒の木曜日」です。
この大暴落の原因は以下のようなものでした。
購買力の低下
大戦直後から始まった農産物の価格が下落したため、農業に携わる人々の購買力が低下した。
過剰な設備投資
アメリカ国内の企業生産に関わる設備投資が次々と行われ、それに基づく生産過剰が起こっていた。
貿易の縮小
戦後の復興を目指していたヨーロッパ諸国が次第に高関税政策をとるようになったことで、世界的に貿易が縮小した。
このような状況が重なって起こった恐慌は、アメリカ全土に広がり、その影響は全産業に及びます。その結果、さまざまな金融機関や企業が倒産し、その数は4500社にもなりました。
また、これにより1933年までにアメリカ国内の失業者の数は
1500万人にも達し、社会不安が広がりました。
世界恐慌へ
当時世界最大の債権国だったアメリカ合衆国の大不況は、瞬く間に全世界へと広がります。
第一次世界大戦の敗戦国、
ドイツと
オーストリアでは、アメリカ資本による復興を目指していたため、大不況によって資本が引き上げられると、資金不足により企業や銀行が次々に倒産しました。
1931年にイギリスが
金本位制を停止すると、深刻なヨーロッパの状況を認識したアメリカは、
フーヴァー=モラトリアムを行いました。これは、支援していたドイツ経済を立て直すため、一年間戦債や賠償の支払いを猶予するものでしたが、時すでに遅く、効果はありませんでした。
(第31代大統領フーヴァー)
このモラトリアムを行った第31代アメリカ大統領フーヴァーは、自身の任期中に起こった大恐慌に対し、自由放任主義を貫いたため、結果的にアメリカの不況は放置されることになりました。