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5_80 世界の様々な地域 / 各国の名称と位置・大陸

「ジョージア」について調べてみよう

著者名: 早稲男
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ジョージア

ジョージア(英語ではGeorgia)は、コーカサス山脈の南麓、黒海の東岸に位置する共和制国家です。かつてはグルジアの名で知られていました。首都はトビリシです。

このテキストでは、ジョージアの特徴を「国土」、「人口と人種」、「言語」、「主な産業」、「主な観光地」、「文化」、「スポーツ」、「日本との関係」の8つのカテゴリに分けて詳しく見ていき、同国の魅力や国際的な影響力について考えていきます。

1. 国土:多様な自然が織りなす風景

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ジョージアの国土面積は約6万9700平方キロメートル、九州とほぼ同じくらいの大きさです。北には雄大な大コーカサス山脈が連なり、ロシア連邦と国境を接しています。南は小コーカサス山脈が走り、トルコ、アルメニア、アゼルバイジャンと国境を分かち合っています。西は黒海に面し、温暖な気候と美しい海岸線が広がります。

国土の約87%が山岳地帯で、最高峰は標高5,201メートルのシュハラ山です。この複雑な地形は、変化に富んだ気候を生み出しています。黒海沿岸部は温暖湿潤な亜熱帯気候で、柑橘類や茶の栽培が盛んです。一方、東部は乾燥した大陸性気候で、夏は暑く冬は寒くなります。山岳地帯では高山気候となり、冬には多くの雪が降ります。

このような多様な自然環境は、豊かな生態系を育んでいます。ジョージアには多くの国立公園や自然保護区があり、希少な動植物が生息しています。例えば、ボルジョミ・ハラガウリ国立公園はヨーロッパ最大級の国立公園の一つで、ハイキングや乗馬を楽しむことができます。


2. 人口と人種:古からの民族の交差点

ジョージアの総人口は、約370万人です(2024年4月時点)。人口の約86.8%をジョージア人が占めています。その他、アゼルバイジャン人(6.3%)、アルメニア人(4.5%)、ロシア人(0.7%)など、多様な民族が暮らしています。これらの民族は、それぞれ独自の文化や伝統を守りながら共存しており、ジョージア社会の多様性を豊かにしています。

首都はトビリシで、人口は約115万人(ジョージア国家統計局、2023年1月1日時点)を擁し、政治・経済・文化の中心地となっています。ジョージアの人口は、近年、若干の減少傾向も見られますが、政府は人口増加や国内回帰に向けた政策にも取り組んでいます。


3. 言語:独自の文字を持つジョージア語

ジョージアの公用語はジョージア語です。ジョージア語は、世界でも珍しい独自のアルファベット(ムヘドルリ文字)を持ち、その歴史は非常に古く、紀元前にまで遡るとも言われています。この美しい曲線を持つ文字は、ジョージアの文化とアイデンティティの象徴です。

ジョージア語はカルトヴェリ語族に属し、周辺国の言語とは系統が異なります。国内では、ジョージア語の他に、ロシア語が広く理解されており、特に年配の世代には通じやすい傾向があります。また、若い世代を中心に英語教育も普及してきており、観光地や都市部では英語が通じる場面も増えています。少数民族の間では、それぞれの母語(アゼルバイジャン語、アルメニア語など)も話されています。


4. 主な産業:成長する経済と潜在力

ジョージアは、独立以降、市場経済への移行を進め、近年は安定した経済成長を遂げています。世界銀行によると、2023年のジョージアの実質GDP成長率は7.0%と予測されており(世界銀行、2024年1月)、コーカサス地域においてダイナミックな経済発展を見せています。

主要な産業としては、まず農業が挙げられます。特にワイン生産はジョージアを代表する産業であり、8000年以上の歴史を持つと言われる伝統的なクヴェヴリ製法によるワインは、国際的にも高い評価を得ています。その他、ナッツ類(特にヘーゼルナッツ)、柑橘類、茶なども栽培されています。

観光業もまた、ジョージア経済の重要な柱です。美しい自然景観、世界遺産にも登録されている歴史的建造物、独自の文化、そして美味しい食事を求めて、多くの観光客が訪れています。政府は観光インフラの整備にも力を入れており、今後さらなる成長が期待されます。

鉱業では、マンガンや銅などの採掘が行われています。また、水力発電も盛んで、国内の電力供給の重要な部分を担っています。

地理的な利点を活かした運輸・物流も重要です。黒海に面した港湾(ポティ港、バトゥミ港)は、中央アジアとヨーロッパを結ぶ輸送ルート「ミドルコリドー」の要衝として、その役割がますます高まっています。近年は、外国からの直接投資も増加傾向にあり、ビジネス環境の改善にも積極的に取り組んでいます。


5. 主な観光地:歴史と自然が織りなす魅力

ジョージアには、訪れる人々を魅了する数多くの観光地があります。

トビリシ

首都トビリシは、「温かい泉」を意味する名の通り、古くから温泉地として知られています。旧市街(カラ)には、石畳の道、歴史的な教会、伝統的なバルコニーのある家々が立ち並び、独特の雰囲気を醸し出しています。ナリカラ要塞からの眺めは絶景です。

ムツヘタ

トビリシ近郊に位置する古都ムツヘタは、ジョージアにおけるキリスト教受容の地であり、国内で最も神聖な場所の一つとされています。スヴェティツホヴェリ大聖堂やジュヴァリ聖堂など、多くの重要な宗教建築物があり、「ムツヘタの歴史的建造物群」としてユネスコの世界文化遺産に登録されています。

スヴァネティ地方

大コーカサス山脈の奥深くに位置するスヴァネティ地方は、中世から残る石造りの塔(コシュキ)が点在する独特の景観で知られています。「上スヴァネティ」としてユネスコの世界文化遺産に登録されており、壮大な山岳風景と独自の文化に触れることができます。

カヘティ地方

ジョージア最大のワイン産地であり、「ワイン発祥の地」とも称されます。広大なブドウ畑が広がり、数多くのワイナリーが点在しています。伝統的なクヴェヴリ製法で作られるオレンジワイン(アンバーワイン)は特に有名で、ワイナリーツアーやワインテイスティングを楽しむことができます。

バトゥミ

黒海沿岸に位置するジョージア第2の都市バトゥミは、近代的な高層ビルと美しいビーチが融合したリゾート地です。遊歩道での散策、植物園、カジノなどが楽しめます。

この他にも、洞窟都市ヴァルジア、ダヴィド・ガレジ複合修道院群、雄大な自然が広がるカズベギ地方(ステパンツミンダ)など、見どころは尽きません。


6. 文化:ワイン発祥の地、独自の伝統とホスピタリティ

ジョージア文化の最も顕著な特徴の一つは、そのワイン文化です。ジョージアは8000年以上のワイン造りの歴史を持つとされ、世界最古のワイン生産地の一つと考えられています。伝統的な製法であるクヴェヴリ(粘土製の大きな壺を地中に埋めてワインを醸造・熟成させる方法)は、2013年にユネスコの無形文化遺産に登録されました。ジョージアのワインは、その多様な味わいと豊かな香りで世界中のワイン愛好家を魅了しています。

宗教もジョージア文化の重要な要素です。国民の多くはジョージア正教を信仰しており、国内には数多くの美しい教会や修道院が点在しています。これらの宗教建築物は、ジョージアの歴史と精神性を今に伝えています。

音楽と舞踊もジョージア文化の誇りです。特に、ジョージアの伝統的なポリフォニー(多声音楽)は、その複雑で美しいハーモニーで知られ、ユネスコの無形文化遺産にも登録されています。また、情熱的でダイナミックな民族舞踊は、ジョージア人の魂を表現するものとして、国内外で高く評価されています。

食文化もジョージアの大きな魅力の一つです。「ハチャプリ」(チーズパン)や「ヒンカリ」(肉汁たっぷりの餃子)といった代表的な料理は、一度食べたら忘れられない美味しさです。ハーブやスパイスを巧みに使った料理は、ジョージア人の温かいおもてなしの心と共に、訪れる人々に深い印象を与えます。客人をもてなす宴「スプラ」は、ジョージアのホスピタリティを象徴する重要な文化的習慣であり、タマダ(宴の進行役)が中心となって、歌や詩、乾杯の言葉が交わされます。


7. スポーツ:伝統と近代スポーツの融合

ジョージアでは、古くから伝わる伝統的な格闘技が盛んです。特に「チダオバ」(ジョージア相撲)は人気があり、国民的なスポーツの一つとされています。

近代スポーツでは、サッカー、ラグビー、柔道、レスリングなどが人気です。特にラグビーは、近年急速に実力をつけており、ワールドカップにも出場する強豪国として知られています。ジョージアのラグビー代表チーム「レロス」の情熱的なプレースタイルは、多くのファンを魅了しています。

柔道やレスリングといった格闘技も、ジョージアのお家芸と言えるでしょう。オリンピックや世界選手権で多くのメダルを獲得しており、数々の名選手を輩出しています。ウエイトリフティングも強豪国の一つです。

ジョージア政府はスポーツ振興にも力を入れており、国内のスポーツ施設の整備や国際大会の誘致などを積極的に行っています。


8. 日本との関係:深まる友好と協力

日本とジョージアは、1992年に外交関係を樹立して以来、良好な友好関係を築いています。両国は、民主主義、法の支配、市場経済といった基本的価値を共有しており、政治、経済、文化など様々な分野で協力関係を発展させてきました。

経済面では、日本からジョージアへの輸出は自動車や機械類が中心で、ジョージアからの輸入はワインや食品などが主です。ジョージアの地理的な重要性や経済成長への期待から、日本企業の関心も徐々に高まっています。日本政府は、ジョージアの持続的な経済発展やインフラ整備のため、政府開発援助(ODA)を通じた支援も行っています。

文化交流も活発に行われています。ジョージアでは日本の伝統文化やポップカルチャーへの関心が高く、日本語を学ぶ人も増えています。日本でも、ジョージアのワインや音楽、舞踊などが紹介される機会が増え、ジョージアの魅力が少しずつ浸透してきています。特に、ジョージア出身の力士が日本の大相撲で活躍したことは、両国の親近感を深める大きなきっかけとなりました。

人的交流も進んでおり、観光客の往来も増えつつあります。2021年には、日本とジョージアの間で所得に対する租税に関する二重課税の除去並びに脱税及び租税回避の防止のための日本国とジョージアとの間の条約(日・ジョージア租税条約)」が締結されるなど、両国間の経済関係のさらなる発展に向けた環境整備も進められています。

今後も、日本とジョージアは、様々な分野で協力関係を深化させ、共に発展していくことが期待されます。
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ジョージア国家統計局
世界銀行 (World Bank)
CIA World Factbook
外務省
UNCTAD World Investment Report 2023

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