エリトリア国
エリトリア国(以下「エリトリア」、英語ではState of Eritrea)は、アフリカの角と呼ばれるアフリカ大陸北東部に位置し、紅海に面した美しい国です。首都はアスマラです。
このテキストでは、エリトリアの特徴を「国土」、「人口と人種」、「言語」、「主な産業」、「主な観光地」、「文化」、「スポーツ」、「日本との関係」の8つのカテゴリに分けて詳しく見ていき、同国の魅力や国際的な影響力について考えていきます。
1.国土:紅海に抱かれた多様な地形
エリトリアは、アフリカ大陸の北東部に位置し、「アフリカの角」と呼ばれる地域に属しています。国土面積は約11.76万平方キロメートルで、これは北海道と九州を合わせた広さとほぼ同じです。西にスーダン、南にエピオピア、ジブチと国境を接しています。本土とは別に、東に面した紅海には350以上の島々が存在し、豊かな海洋資源を有しています。
国土は、大きく分けて3つの地形に分けられます。
■海岸地域
紅海沿岸には、全長約1,151kmに及ぶ海岸線が広がっています。
■中央高地
首都アスマラを含む地域で、標高2,000メートルを超える高地が連なっています。
■西部低地
スーダンとの国境に近い地域で、乾燥したサバンナが広がっています。
2.人口と人種
エリトリアの人口は約354万人(2022年:世界銀行)で、主に以下の9つの民族が共存し、 それぞれ独自の言語と文化を持っています。
・ティグリニャ人
・ティグレ人
・サホ人
・クナマ人
・ラシャイダ人
・ベジャ人
・ビリン人
・アファール人
・ナラ人
3.言語:アラビア語、ティグリニャ語、英語が主要言語
エリトリアの公用語は、ティグリニャ語とアラビア語です。また、英語も広く使用されています。しかし、各民族はそれぞれの母語を持ち、日常生活や文化的活動で使用しています。例えば、ティグレ語、アファール語、サホ語、クナマ語、ベレン語などが存在します。
4.主な産業:農業、鉱業、漁業が基幹産業
エリトリアの主な産業は、農業、鉱業、漁業です。
■農業
国民の約80%が農業に従事しており、主要な作物としては、テフ、ソルガム、オオムギなどが挙げられます。
■鉱業
金、銅、亜鉛などの鉱物資源が豊富で、近年では鉱業部門の成長が著しいです。
■漁業
紅海沿岸では、エビ、カニ、魚類などの水産資源が豊富で、漁業も重要な産業となっています。
近年では、観光業にも力を入れており、紅海の美しい海岸線や歴史的な建造物などを活用した観光開発が進められています。
5.主な観光地:世界遺産に登録された首都アスマラ
エリトリアの主な観光地としては、以下のものが挙げられます。
■アスマラ
首都アスマラは、1930年代のイタリア植民地時代の建築物が数多く残っており、「アスマラ:アフリカのモダニズム都市」としてユネスコの世界遺産に登録されています。「アフリカのローマ」とも称されます。
■マッサワ
紅海に面した港湾都市で、歴史的な建造物や美しいビーチが観光客を魅了します。
■ダフラク諸島
紅海に浮かぶ350以上の島々からなる諸島で、美しい珊瑚礁や多様な海洋生物が生息しています。
■コハイト
紀元前1000年頃から栄えた古代都市の遺跡であり、サバ・アラビア文明の影響が見られます。
これらの観光地では、美しい自然や歴史的な建造物を楽しむことができます。
6.文化
エリトリアは、多様な民族が共存しており、それぞれの民族が独自の文化を持っています。
■音楽
各民族は、独自の音楽やダンスを持っており、伝統的な楽器や歌が受け継がれています。特にティグリニャ人の伝統音楽やアファール人の舞踊は、国内外で高い評価を受けています。
■料理
主食はインジェラと呼ばれるクレープ状のパンで、様々な種類のシチューと一緒に食べます。
■工芸品
陶器、織物、木工品など、伝統的な工芸品が作られています。
7.スポーツ
エリトリアでは、サッカーや陸上競技が盛んです。特に、長距離走では国際的な大会で活躍する選手を輩出しています。また、自転車競技も人気があり、国内外のレースでエリトリア人選手が活躍しています。その他、サッカーやバスケットボールなども人気があります。
8.日本との関係
日本とエリトリアの経済協力は、1993年のエリトリアの独立以降、段階的に深化してきました。特に、食糧援助や医療・衛生分野での支援が中心となっています。
■食糧援助
日本はエリトリアに対し、長年にわたり食糧援助を実施しています。これは、エリトリアの食糧安全保障の強化と栄養改善に寄与しています。
■医療・衛生分野の支援
医療や衛生分野でも、日本はエリトリアの保健システムの強化を支援しています。具体的なプロジェクトとして、医療施設の建設や医療機器の供与、医療従事者の研修などが挙げられます。これらの取り組みは、エリトリア国民の健康状態の改善に大きく貢献しています。
■技術協力と人材育成
日本は、技術協力や人材育成の分野でもエリトリアを支援しています。例えば、日本の技術者や専門家を派遣し、エリトリアの農業技術の向上やインフラ整備をサポートしています。また、エリトリアからの研修生を日本に受け入れ、専門技術や知識の習得を支援しています。これらの取り組みは、エリトリアの持続可能な発展に寄与しています。
■貿易関係
貿易面では、日本とエリトリアの間で商品やサービスの取引が行われています。日本からエリトリアへの主要な輸出品目は機械類やゴム製品であり、エリトリアから日本への主要な輸入品目は衣類や魚介類です。これらの貿易活動は、両国間の経済的な結びつきを強化しています。
■今後の展望
エリトリアは「アフリカのシンガポール」を目指し、観光業を中心に門戸開放を進めています。この動きに伴い、日本との経済協力の分野も拡大する可能性があります。特に、観光業やインフラ整備、人的交流などの分野での協力が期待されています。
全体として、日本とエリトリアの経済協力は、エリトリアの社会経済的発展に重要な役割を果たしており、今後も多様な分野での協力が期待されます。