シンハラ人とは　わかりやすい世界史用語800

シンハラ人は、スリランカの主要な民族グループであり、同国の人口の約75%を占めています。彼らはインド・アーリア系の民族であり、主にシンハラ語を話し、上座部仏教を信仰しています。


シンハラ人の起源は、紀元前5世紀頃に北インドからスリランカに移住したとされる伝説的な王子ヴィジャヤに遡ります。彼の到来とその後の統治は、スリランカの歴史書『マハーワンサ』に詳述されています。この伝説によれば、ヴィジャヤとその追随者たちは、スリランカの先住民と混血し、現在のシンハラ人の祖先となりました。




シンハラ語はインド・アーリア語族に属し、スリランカの公用語の一つです。シンハラ語の文字はブラーフミー文字から派生した独自の文字体系を持ち、文学や宗教文献において重要な役割を果たしています。

シンハラ文化は、仏教の影響を強く受けています。特に上座部仏教は、シンハラ人の宗教的、社会的生活の中心にあります。仏教寺院や僧院は、教育や文化の中心地として機能し、多くの祭りや儀式が仏教に基づいて行われます。


シンハラ社会は、伝統的にカースト制度に基づいて構成されています。この制度は、インドのカースト制度と類似しており、社会的地位や職業が世襲される仕組みです。主要なカーストには、農民階級のゴイガマ、職人階級のカラワ、漁師階級のデュラワなどがあります。


スリランカには、シンハラ人とタミル人という二大民族が存在します。歴史的には、これらの民族間には緊張関係がありました。特に、1956年の「シンハラ・オンリー」政策は、シンハラ語を唯一の公用語とするもので、タミル人の反発を招きました。この政策は、後の民族紛争や内戦の一因となりました。

シンハラ人は、スリランカの歴史と文化に深く根ざした民族です。彼らの言語、宗教、社会構造は、スリランカのアイデンティティの重要な要素を形成しています。