20進法とは
マヤ文明における20進法(Vigesimal system)は、数値や暦日を表現するために用いられた数学的体系です。この体系は、3つのシンボル、すなわちゼロ(貝殻の形)、1(点)、5(横棒)を組み合わせて数値を表現します。
例えば、13という数は、2つの横棒の上に3つの点を並べて表されます。これは、横棒がそれぞれ5を意味し、点が1を表すため、5+5+1+1+1と計算して13になります。また、33という数は、1つの点(20を意味する)の上に、3つの点と2つの横棒を置くことで表され、(1×20) + 13 = 33となります。
マヤの数学者たちは、20のべき乗を使用していました。例えば、20を超える数は、20のべき乗で縦に書かれます。202(400)、203(8000)、204(160,000)などがこれに該当します。429という数は、1つの点(202を意味する)の上に、1つの点(201を意味する)と、4つの点と1つの横棒(9を意味する)を置くことで表され、(1×202) + (1×20^1) + 9 = 429となります。
この数学的体系は、非常に大きな数値も表現可能であり、マヤ文明の天文学や建築学において重要な役割を果たしました。例えば、チチェン・イッツァのククルカンのピラミッドやウシュマルの魔術師のピラミッドなど、驚くべき精度で建造された建築物の計測に使用されていました。
また、マヤの数学者たちは、この数学的体系を使って、加算や減算を行うことができました。加算は、各レベルの数値シンボルを組み合わせることで行われます。5つ以上の点が組み合わされた場合は、5つの点を取り除き、1つの横棒に置き換えます。4つ以上の横棒がある場合は、4つの横棒を取り除き、次の高い行に1つの点を加えます。減算も同様に、引かれる数の要素を引く数の要素から取り除くことで行われます。
このように、マヤ文明の数学的体系は、単純なシンボルを用いながらも、複雑な計算を可能にする非常に洗練されたものでした。現代の私たちが使用する10進法とは異なり、20進法はマヤ文明独自の特色を持つ数学的遺産です。