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旧石器時代の女性裸像とは 世界史用語38

著者名: ピアソラ
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旧石器時代後期に作られた女性裸像

旧石器時代後期に作られた女性裸像は、ヨーロッパやユーラシアの広い範囲で発見された、人類史上最古の芸術作品の一つです。これらの裸像は、一般に「ヴィーナス像」と呼ばれていますが、これはローマ神話の美の女神ヴィーナスに由来する名称であり、19世紀半ばに象牙製の裸像を発見した侯爵が「不貞のヴィーナス」と名付けたのが始まりです。しかし、これらの裸像が本当に美の女神を表しているとは限りませんし、実際には多様な形態や意味を持っていることが近年の研究で明らかになってきています。



ヴィーナス像の特徴として、裸であること、女性であること、性的特徴が強調されていることが挙げられます。しかし、これらの特徴はすべてのヴィーナス像に当てはまるわけではありません。例えば、顔や手足が省略されているもの、服を着ているもの、髪や装飾品が描かれているもの、妊娠しているもの、肥満しているもの、痩せているもの、立っているもの、座っているもの、横たわっているものなど、様々なタイプのヴィーナス像が存在します。また、ヴィーナス像は、石や骨や象牙などの素材で作られており、大きさも数センチメートルから数十センチメートルまで変わります。これらの多様性は、ヴィーナス像が異なる地域や時代や文化において、異なる目的や意味を持っていたことを示唆しています。

ヴィーナス像の機能や意味については、様々な説が提唱されてきましたが、決定的な答えはまだ見つかっていません。一般的な説としては、以下のようなものがあります。

妊娠や出産や母性を祝福するための儀式用の像。
女性の身体や性的魅力を称賛するための美術作品。
男性の欲望や支配を反映した女性のオブジェクト化。
女性の自己表現やアイデンティティの形成のための自画像。
過酷な環境に適応するための生存戦略や社会的結合の象徴。

これらの説は、それぞれに一定の根拠や妥当性を持っていますが、同時に反論や批判も受けています。例えば、儀式用の像とする説は、ヴィーナス像が神聖な場所や共同体の中心に置かれていたという証拠がないこと、妊娠や出産や母性が必ずしも女性の唯一の役割ではないこと、ヴィーナス像がすべて妊娠しているとは限らないことなどを指摘されています。美術作品とする説は、ヴィーナス像が美的な基準に従って作られているという証拠がないこと、美の概念が文化や時代によって異なること、ヴィーナス像が必ずしも美しいとは言えないことなどを指摘されています。オブジェクト化とする説は、ヴィーナス像が男性の視点から作られたという証拠がないこと、女性の身体や性的魅力が必ずしも男性の欲望や支配の対象ではないこと、ヴィーナス像が性的な目的で使われたという証拠がないことなどを指摘されています。自画像とする説は、ヴィーナス像が女性の視点から作られたという証拠がないこと、女性の自己表現やアイデンティティの形成が必ずしも身体的な特徴に依存するとは限らないこと、ヴィーナス像が自画像としての機能を果たしたという証拠がないことなどを指摘されています。生存戦略とする説は、ヴィーナス像が過酷な環境に適応するための効果を持ったという証拠がないこと、ヴィーナス像が社会的結合の象徴としての機能を果たしたという証拠がないこと、ヴィーナス像が肥満や痩せのどちらのタイプも含んでいることなどを指摘されています。
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・旧石器時代の女性裸像とは 世界史用語38

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『世界史B 用語集』 山川出版社

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