源氏物語『薄雲』のわかりやすいあらすじ・主な登場人物の紹介
このテキストでは、
源氏物語の第十九帖『
薄雲』(うすぐも)のあらすじを短くわかりやすく記しています。その他、主な登場人物などもまとめています。
薄雲のあらすじ
明石の君は周りからの説得を受けて、娘を光源氏に託すことを決めました。光源氏は姫君を二条院に連れて行き、そこで盛大な袴着(女子成人式)を行いました。最初は不安げに泣いていた姫君も、次第に暮らしに慣れ、養育担当の紫の上になつくようになりました。
翌年、太政大臣(頭中将と葵の上の父)が、そして病に伏せっていた藤壺が37歳で亡くなります。光源氏は最愛の人(藤壺)の死に深く悲しみ、念誦堂(仏教行事を行う場所)にこもって泣き続けたのでした。法要が一段落した頃、藤壺の時代から仕えていた古参の僧侶が、光源氏と藤壺の関係を冷泉帝に告げました。自身の出生の秘密を知った冷泉帝は驚き、光源氏に位を譲ろうとしますが、光源氏はそれを固く断りました。
場面は変わってその年の秋、六条御息所の娘で冷泉帝に入内していた梅壺(秋好中宮)が二条院に里帰りしてきました。従来より梅壺に恋心を抱いていた光源氏はこの時ぞとばかりにアプローチしますが、あっけなくふられてしまいました。ちなみに梅壺のことを秋好中宮(あきこのむちゅうぐう)と呼ぶことがありますが、これは、光源氏が梅壺に言い寄る際に交わした言葉
光源氏「あなたは春と秋のどちらがお好きか」
梅壺「母御息所の亡くなった秋に惹かれる」
に由来します。
主な登場人物
■光源氏(31歳冬~32歳秋)
■明石の君
光源氏の側室。光源氏が用意した二条院には住まず、京都の大堰川近くの山荘を居としている。娘の将来を思い、光源氏に預けるという苦渋の決断をする。
■紫の上
光源氏の正妻。光源氏と明石の君との関係には苦言を呈するが、明石の姫君を引き取り養育することには大賛成。かわいい姫君の存在により、明石の君への嫉妬心は次第に和らいでいく。
■冷泉帝
今上天皇。桐壺帝と藤壺の子として育てられたが、実際には光源氏と藤壺の不貞の子であることを明かされた。桐壺帝への申し訳ない気持ちと、実の父(光源氏)を家臣としている現状に悩み、光源氏への譲位を申し出るも、光源氏には固く断られた。
■梅壺
光源氏のかつての恋人であった六条御息所の娘。六条御息所が亡くなる際に、梅壺には手を出さないよう釘をさしたにもかかわらず、こりずに手を出そうとした光源氏を瞬殺。あっけなくふられた光源氏は、もう恋愛をしているような年齢でもないのかもしれないと一瞬だけ自信を無くす。
源氏物語とは
源氏物語は平安中期に成立した長編小説です。一条天皇中宮の藤原彰子に仕えた
紫式部が作者とするのが通説です。
おすすめの書籍
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源氏物語は、文字で読むには非常に難解な物語だと思います。一人の人物を指す言葉が何パターンもあるというのが理由の一つです。例えば第一帖「
桐壺」に出てくる
・男御子
・御子
・君
・若宮
・宮
・源氏の君
・光る君
・源氏
という言葉はすべて、光源氏のことを指しています。光源氏の初恋の相手である藤壺を指す言葉は「先帝の四の宮、后の宮の姫宮、藤壺、御方、宮、かかやく日の宮」、桐壺更衣をいじめる弘徽殿女御を指す言葉は「右大臣の女御、一の御子の女御、弘徽殿、御方、女御、弘徽殿の女御、春宮の女御」と、非常に多くの表現が用いられており、このことが源氏物語を読みづらくしている要因の一つだと思います。そこでお勧めなのが漫画でイメージを掴むことです。特にここで紹介する
あさきゆめみしは、半世紀近く読み親しまれてきた漫画の決定版だと思います。
読むのが難解な源氏物語を、まずは漫画で気軽に感じてみてはいかがでしょうか。
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