ことさらなり/殊更なり
形容動詞・ナリ活用
未然形 | ことさらなら | ◯ |
連用形 | ことさらなり | ことさらに |
終止形 | ことさらなり | ◯ |
連体形 | ことさらなる | ◯ |
已然形 | ことさらなれ | ◯ |
命令形 | ことさらなれ | ◯ |
■意味1
意図的に、故意に、わざと。
[出典]:
車争ひ 源氏物語
「網代のすこしなれたるが、下簾のさまなどよしばめるに、いたう引き入りて、ほのかなる袖口、裳の裾、汗衫など、物の色、いと清らにて、
ことさらにやつれたるけはひしるく見ゆる車、二つあり。 」
[訳]:網代車で少しよれよれになったもので、下簾の様子が由緒ありげなうえに、(乗りては牛車に)ずっと引きこもっており、わずかに見える袖口や裳の裾、汗衫など、物の色がたいそう気品があって美しく、
故意に質素な身なりをしている様子が際立って見える車が、2つあります。
■意味2
格別だ、特別だ、際立って。
[出典]:若紫 源氏物語
「小さきかぎり、ことさらに参れ。」
[訳]:小さい者だけ、特別に参上しなさい。
■意味3
こと改めて、改めて事にあたる様。
[出典]:草枕 増鏡
「またの日に、ことさらに二条内裏へ渡されけり。」
[訳]:またの日に、改めて二条内裏に(三種の神器を)お移しになりました。