はじめに
中国で誕生しアジア社会に大きな影響を及ぼした
儒学という学問があります。この学問はどのように成立し、発展していったのか、その過程を説明したいと思います。
儒学の成立
儒学の創始者は、
孔子(前551〜前479年)です。
(孔子像)
孔子が生きていたのは、
春秋時代。統一国家が滅亡し、各地に覇者が現れ、天下の覇権を争っていた時期です。
このような乱世において孔子は、
血縁関係を基礎として成り立っていた
周王朝の時代を理想とし、家族倫理の実践によって平和な世の中を実現しようとしました。
この思想が儒学の根本になり、弟子たちによって『
論語』にまとめられたのです。
その後、戦国時代には、門下から
孟子や
荀子が現れ、孔子の思想を発展させていきます。
しかし、秦の時代になると、
始皇帝は思想や言論統制のために、紀元前213年に
焚書・坑儒を行います。
焚書は農業や医薬、卜筮(ぼくぜい)などの実用書を除く書物を焼き払い、坑儒は、460人に及ぶ儒学の学者を生き埋めにした事件でした。このように、始皇帝の政策によって、儒学は弾圧の時代を迎えます。