かたがた/方方
このテキストでは、古文単語「
かたがた/方方」の意味、解説とその使用例を記している。
「かたがた」には
①名詞
②代名詞
③副詞
などの用法があるが、ここでは「①名詞」を扱う。
名詞
■意味1
あちらこちら、部屋ごと。
[出典]:
道真の左遷 大鏡
「この大臣、子どもあまたおはせしに、女君たちは婿取り、男君たちは皆、ほどほどにつけて位どもおはせしを、それも皆
方方に流され給ひてかなしきに...」
[訳]:この大臣(菅原道真)には、子どもが多くいらっしゃいましたが、姫君たちは婿を取り、ご子息たちは皆、それぞれ身分に応じて位などがおありでしたのを、その人たちも皆
あちらこちらに左遷されになって悲しいのに...
■意味2
あれこれ、いろいろ。
[出典]:鈴虫 源氏物語
「われより後の人々に、方方につけておくれゆく心地しはべるも...」
[訳]:私より若い方々に、あれこれにつけて置いていかれる気持ちが致しますのも...
■意味3
(「人々」の尊敬語で)
方々。
[出典]:
桐壺 源氏物語
「はじめより我はと思ひ上がり給へる御
方方...」
[訳]:(宮廷に仕え始めた)当初から自分こそは(帝の寵愛を受ける)と自負していらっしゃる
方々は...