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高校古文『世の中に思ひやれども子を恋ふる思ひにまさる思ひなきかな』わかりやすい現代語訳と品詞分解

著者名: 走るメロス
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はじめに

このテキストでは、土佐日記の一節「十一日。暁に舟を出だして、室津を追ふ〜」から始まる部分に収録されている歌「世の中に思ひやれども子を恋ふる思ひにまさる思ひなきかな」の現代語訳・口語訳と解説、そして品詞分解を記しています。



※土佐日記は平安時代に成立した日記文学です。日本の歴史上おそらく最初の日記文学とされています。作者である紀貫之が、赴任先の土佐から京へと戻る最中の出来事をつづった作品です。
原文

世の中に思ひやれども子を恋ふる(※1)思ひにまさる(※2)思ひなきかな

ひらがなでの読み方

よのなかにおもひやれどもこをこふるおもひにまさるおもひなきかな

現代語訳

世の中に思いをはせてみても、子どもを恋い慕う気持ちに勝るような悲しみはないことであるよ。




解説

土佐日記は、紀貫之が、任期を終えて土佐国から京都に戻る道中の出来事を日記風につづった作品ですが、亡くなった娘への愛情、そして京都への思いが特に印象的に記されています。歌が収録されている「十一日。」から始まる章には、土佐を出発してから二十日ほど経ち、高知県の奈半の港を出発し羽根という場所に着いたときのことが記されています。

土佐日記によるとこの歌は、「羽根」という地名を聞いて女児が「まことにて名に聞くところ羽ならば飛ぶがごとくに都へもがな」という歌を詠んだことをきっかけに、亡くした娘のことを思い出し詠んだものとされています。

単語

(※1)思ひ恋い慕う気持ち、愛情。(※2)「思ひ」とは意味が異なることに注意
(※2)思ひ悲しみ。(※1)「思ひ」とは意味が異なることに注意


品詞分解

※名詞は省略しています。



世の中
格助詞
思ひやれラ行四段活用「おもひやる」の已然形
ども接続助詞
格助詞
恋ふるハ行上二段活用「こふ」の連体形
思ひ
格助詞
まさるラ行四段活用「まさる」の連体形
思ひ
なきク活用の形容詞「なし」の連体形
かな終助詞

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『教科書 高等学校 国語総合』 第一学習社
ベネッセ全訳古語辞典 改訂版 Benesse
『教科書 高等学校 新訂国語総合』 第一学習社
佐竹昭広、前田金五郎、大野晋 編1990 『岩波古語辞典 補訂版』 岩波書店
全訳読解古語辞典 第四版 三省堂

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